研究課題/領域番号 |
23592135
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
平野 宏文 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00264416)
|
研究分担者 |
岸田 昭世 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50274064)
有田 和徳 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90212646)
湯之上 俊二 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20404478)
|
キーワード | Wnt5a / Frizzled2 / Frizzled6 / Glioblastoma / Survival time |
研究概要 |
U251 cell lineやU87 cell line,過去に手術で採取したグリオーマから株化した培養細胞を用いて,WntおよびFrizzled (Fzd)の発現の状況を,タンパクレベル,mRNAレベルで確認したところ,グリオーマにおいては,Wnt5aがよく発現しており,Wnt5aが細胞移動や浸潤に関与していることを確認してきた.また, Frizzled 側では,Fzd2,Fzd6の発現が上昇していることが確認された. Fzd2,Fzd6に加え,受容体であるRykを加え,これらがグリオーマの中でも最も悪性である膠芽腫の予後に如何に影響しているかを検討した. 【方法】手術で腫瘍が全摘出された膠芽腫症例について,臨床データと共にWnt5a,Fzd2,Fzd6,Rykの発現の強さと生存期間との関係を統計学的に評価した.免疫組織学的にタンパク発現を評価するため,自動免疫染色装置を用いて,Wnt5a,Fzd2,Fzd6,Rykに対する染色を行い,評価に当たっては,従来の目視による半定量方法に加え,コンピュータによる画像解析ソフトウェアを使用し,染色分離(color deconvolution)を行い,optical densityによる染色量の相対評価を用いた.臨床データとして,年齢, 性, 外照射放射線量, 定位放射線治療の生む, 化学療法, 腫瘍の部位, 術後のKarnofsky performance status, 摘出標本のMIB-1 indexを評価対象とした. 【結論】膠芽腫の予後に影響する因子として,腫瘍組織におけるFzd2,Fzd6の発現が予後不良因子となっていることが確認できた.これは,in vitroのこれまでの研究結果を実際の臨床データで確認したものであり,グリオーマにおけるWnt系列のシグナル伝達が予後に影響していることを示すものである.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度研究計画では”WntおよびFrizzledについて,膠芽腫における組織発現(免疫染色性)と生存期間についての報告がまだない.過去の膠芽腫例について,WntおよびFrizzledの免疫染色を行い,手術,化学療法,放射線療法などと共に多変量解析を行い,Wnt/Frizzledに予後因子としての可能性があるか,確認する.”という研究課題を掲げていたが,これについて,一定の結論を得ることができており,順調な経過であると思われる.
|
今後の研究の推進方策 |
昨今の化学療法剤の進歩に鑑み,予後因子として確認されたWntおよびFrizzledの発現が,分子標的薬をはじめとする治療薬に対してどの様な影響を持つのか,検討したい. 具体的には,各種抗腫瘍薬を培養細胞に作用させた時の増殖能,細胞移動能などの腫瘍細胞の活動性の変化と,その時点での対象となるWntおよびFrizzled系の変動を確認したい.
|
次年度の研究費の使用計画 |
各種抗体30万、培地,培養器具,血清20万、定量PCRprobe含むに20万、分子生物学的試薬20万程を計画している。
|