研究概要 |
壊死巣除去術にて得られた臨床検体を用いた放射線壊死の病態解明の研究では、2本の論文がacceptされた。 1つ目は、前年度に得られた、血管新生に関わるVEGF、 HIF-1α、CXCL12、CXCR4などの分子、および炎症のサイトカインであるIL-1a、IL-6、TNF-αなどの免疫染色を行い、反応性のアストロサイトおよびマイクログリアやマクロファージなどが主となり上記分子を発現し、crosstalkしていることを認めた。本研究内容はJournal of Radiation Researchにacceptされた(Yoritsune E, et al. J Radiat Res 2014, in press)。2つ目は、放射線壊死にPDGFおよびPDGFRの関与を詳細に検討した。PDGFは放射線壊死周囲の反応性のアストロサイトおよび血管内皮細胞に発現を認めた。アイソフォーム別の検討では、PDGF-CおよびDとPDGFR-αが反応性のアストロサイトに認められ、PDGF-AおよびBは放射線壊死周囲の血管内皮やモノサイトに発現を認めた。放射線壊死においてもPDGFを介した血管新生のpathwayが作用していることが確認され、特にPDGF-C, D, PDGF-αの関与が重要と思われた。本論文はRadiation Oncologyにacceptされた(Miyata T, et al. Radiat Oncol 2014: 9; 51)。 ラットでの放射線壊死モデル作成および経時的発現分子の研究は、60Gyの照射で約6カ月後に放射線壊死が作成されていることをMRIによる画像検査および組織学的に確認した。MRIでは脳浮腫と思われる高信号域が出現し、組織標本では、壊死巣および浮腫、出血や血管新生を認めた。現在ラット数を増やして安定したモデルが作成できることを確認している。
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