研究課題/領域番号 |
23592148
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
泉本 修一 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40324769)
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研究分担者 |
森 鑑二 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (50360269)
有田 憲生 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80159508)
友金 祐介 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (10412008)
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キーワード | 免疫療法 |
研究概要 |
神経膠芽腫に対してWT1癌ワクチン療法の第I/II相、第II相試験を行い、十分な安全性と有効性があることを明らかにした。その結果、 固形がんの中でも脳腫瘍でWT1免疫獲得効果が高いこと、約6割の有効群と4割の効果の乏しい群に分かれることが明らかになった。有効・無効の原因となる末梢血中の免疫動態を明らかにするとともに、局所において獲得性免疫動態を明らかにするため、マウス脳腫瘍モデルおよびヒト脳腫瘍においてWT1ワクチン治療前後の局所での獲得性免疫動態を明らかにし、抑制系および促進系免疫機序の解明と抑制系免疫の克服法の開発を本研究の目的とする。平成23年度から1.臨床研究として,再発悪性脳腫瘍のWT1ワクチン療法臨床試験(倫理委員会承認647号)および初発治療のWT1ワクチン療法臨床試験(倫理委員会承認834号)を開始、平成24年度も引き続きGMPグレードWT1ペプチドを購入供給体制を整え、治療を行っている。その中で再手術脳腫瘍組織および周辺組織を検討し、組織でのT細胞の集積は脳腫瘍組織内で集積するものと、血管周囲に集積するものとに分かれることが明らかになった。WT1が腫瘍細胞だけでなく、腫瘍新生血管内皮細胞に発現し、それがWT1ワクチン治療の攻撃対象となる可能性が示唆された。2.正常マウス(C57BL6) および担脳腫瘍マウスを作成し、免疫担当細胞の出現を検討下が、明らかな免疫担当細胞の大幅な増加はみられなかった。今後継続し、評価予定とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.臨床研究として,再発悪性脳腫瘍のWT1ワクチン療法臨床試験(倫理委員会承認647号)および初発治療のWT1ワクチン療法臨床試験(倫理委員会承認834号)を開始、平成24年度も引き続きGMPグレードWT1ペプチドの購入供給体制を整え、治療を行っている。初発治療での血液中獲得免疫を評価するためWT1キラーT細胞のテトラマーアッセイおよびFCMで評価したところ、テモゾロミド癌化学療法下でのワクチン治療で血中リンパ球の総量は減少しているにもかかわらず、WT1キラーT細胞の頻度は不変であり、化学療法下でもWT1ワクチン治療免疫反応は確保されていることがわかった。組織でのT細胞の集積は脳腫瘍組織内で集積するものと、血管周囲に集積するものとに分かれることが明らかになった。WT1が腫瘍細胞だけでなく、腫瘍新生血管内皮細胞に発現し、患者ごとに分別し治療反応と比較すると、血管周囲にWT1が発現するものに成績が良い傾向があり、血管内皮細胞がWT1ワクチン治療の攻撃対象となる可能性が示唆された。 2.マウスモデル研究では、正常マウス(C57BL6) および担脳腫瘍マウスを作成し、免疫担当細胞の出現を検討したが、明らかな免疫担当細胞の大幅な増加はみられなかった。今後継続し、評価予定とする。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に引き続いて以下の研究を行う。 1.臨床研究では引き続き,再発悪性脳腫瘍のWT1ワクチン療法臨床試験(倫理委員会承認647号)および初発治療のWT1ワクチン療法臨床試験(倫理委員会承認834号)を継続する。放射線治療時および初期TMZ化学療法併用次だけでなく、長期投与治療成績および長期TMZ併用ワクチン治療経過中の血液中免疫動態の解析を行う。 2.正常マウス(C57BL6) および担脳腫瘍マウスでのモデル実験では、203Gマウスグリオーマ細胞の移植実験を継続する。治療群として、マウスclass I拘束性WT1ペプチド(CTLエピトープ)を与し、その免疫反応、組織反応を詳細に検討する。とくに脳組織ではTreg細胞、CD4陽性細胞、CD8陽性細胞を免疫組織学的に同定し、その集簇や時間的動態を明らかにする。Treg細胞に強い作用をもつTGF-β、IL-10、interferonγの腫瘍および脳組織内の発現度を免疫組織学的に明らかにする。 3.最終年度として以上の結果の総括を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
WT1ペプチドを新規購入する。これらは平成23年度より継続しており、国産ペプチドGMPグレードに問題はない。予算範囲内で購入を予定している。さらにマウスモデルでのマウスclass I拘束性WT1ペプチドを購入する。腫瘍移植様細胞培養消耗品、免疫染色に使用する各種抗体、消耗品が必要となる。計画書の予定どおり結果を報告するために研究費を使用する。
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