研究課題/領域番号 |
23592149
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研究機関 | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
山下 洋二 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 特任研究員 (30420045)
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研究分担者 |
島 礼 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん薬物療法研究部, 部長 (10196462)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | グリオーマ / スプライシング / ワールブルグ効果 / 解糖系酵素 / 腫瘍マーカー |
研究概要 |
グリオーマにおける解糖系異常亢進(ワールブルグ効果)に密接に関与する、解糖系酵素ピルビン酸キナーゼM(PKM)の酵素型変換(PKMスイッチ)と、その原因たるスプライシング異常を採り上げ、グリオーマの新規診断・治療標的として開発することを目的として、研究に取り組んだ。 手術サンプルの大規模RNA解析により、PKMのスプライシング異常が、グリオーマにおいて極めて高頻度で起きていることが明白になった。異常の程度は、WHO gradeとほぼ相関していた。IDH1/2変異との間には、相関はみとめられなかった。低酸素関連因子との相関では、HIF-1ターゲット遺伝子群のうち、VEGF発現との間に弱い相関がみとめられた。 また、独自作製した特異抗体を用いた組織染色を行い、正常組織内への浸潤腫瘍細胞検出における優位性について検討した。予備的結果ではあるが、少なくとも感度の点において、mib-1に対する優位性が確認された。今後、既存各種マーカーとの共染色を進め、免疫染色で検出されるスプライシング異常細胞の性質を詳細に検討する。血中腫瘍マーカーへの応用では、ELISA系を開発し検討したが、十分な感度を得られておらず、改良を要する事が分かった。 メカニズムに関しては、グリオーマにおける特定スプライシング因子の発現と、PKMスプライシング異常との間に、強い相関がみとめられた。グリオーマ細胞株におけるノックダウン実験により、そのスプライシング因子がグリオーマのPKMスプライシング異常に関与することが明らかになった。これら結果は、スプライシング異常を人為的に是正可能なことを示している。と同時に、ノックダウンの効果が部分的であったことから、未知の制御分子の存在も示唆された。また、今後の解析に用いるグリオーマ幹細胞様細胞を手術検体から樹立し、レトロウイルスベクター感染系の設定に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子標的候補の探索で十分に行えなかった点があるものの、その他の点で、ほぼ計画通り、あるいは当初の計画以上に進展した箇所もあり、区分「2」とする。
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今後の研究の推進方策 |
分子標的候補の探索に用いるスクリーニング系開発に取り組みつつ、おおむね当初計画に沿って研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
ほぼ、当初の計画通りの予定である。
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