研究課題
グリオーマにおける解糖系異常亢進(ワールブルグ効果)に密接に関与する、解糖系酵素ピルビン酸キナーゼM(PKM)の酵素型変換(PKMスイッチ)と、その原因たるスプライシング異常を採り上げ、グリオーマの新規診断・治療標的として開発することを目的として、研究に取り組んだ。;(1) ES細胞における遺伝子ターゲティングの技術を応用し、遺伝子改変によってPKMスイッチを不可能としたマウス(PKM1-ノックインおよびPKM2-ノックイン)を樹立した。これらノックインマウス脳において、実際にPKMスイッチを人為的に操作することに成功したことを複数の解析によって確認した。PKMノックイン変異をもったグリオーマ幹細胞作製に向けて、上記マウスの脳室下帯より、神経幹細胞を単離した。(2)グリオーマにおけるPKMスプライシング異常に関わる遺伝子・因子の探索、および、異常解消効果をもつ低分子化合物スクリーニングへの応用を目的として、PKMのスプライシング変換を、蛍光によって、生細胞可視化できるレポーター遺伝子を前年度に作製した。このレポーターコンストラクトを組み込んだBACコンストラクトをマウス受精卵へとマイクロインジェクションし、上記レポーター遺伝子を染色体に組込んだBACトランスジェニックマウスを開発した。(3)PKMの酵素活性を抑制または上昇させる化合物の探索を行った。約500種の化合物ライブラリーを検索し、試験した化合物の中から、一次スクリーニングで、約20種の化合物を同定した。現在、それら化合物の効果について、二次スクリーニングで検証をしつつ、作用機序等の検討を加えている。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)
Nature Communications
巻: 5 ページ: 3393