研究概要 |
平成24年度は靱帯および皮膚から細胞の単離培養実験を行い、靱帯細胞で間葉系幹細胞のminimal criteriaを満たすことが証明できた。骨化巣における間葉系幹細胞の局在をを明らかにするために、骨化靱帯および非骨化靱帯に対して免疫組織学的な検討を行った。 初代培養細胞のフローサイトメトリー解析により、CD73,CD90,CD105が陽性かつCD34, CD45, CD14, CD19, HLA-DR陰性である間葉系幹細胞と同様の細胞表面マーカー発現を認めた。また均一な細胞間での性質比較のため、CD34陰性かつCD105陽性細胞をセルソーティングで抽出して培養を行った。培養では靱帯および皮膚細胞の両者で線維芽細胞様細胞の増殖とコロニー形成を認めた。単細胞培養によるコロニー形成能の評価では骨化症患者と非骨化症患者間に有意差を認めなかった。骨分化誘導培地による培養で、BMP-2, Runx2, ALPの発現比較をしたところ、骨化症患者では靱帯細胞、皮膚細胞ともに発現量が多く、骨分化能が高いことが証明された。3次元培養では軟骨基質形成をAlcian Blue染色で証明し、骨化症患者の靱帯細胞で形成されたペレットから軟骨基質形成能が高いことが証明された。 靱帯細胞における間葉系幹細胞の細胞表面マーカーの局在について二重免疫蛍光染色を行った。骨化靱帯では多数の血管新生を認め、血管周囲にマーカーの局在を認めた。また靱帯実質部にもマーカーの局在を認め、その発現率は骨化靱帯で高くなっていた。また骨化前線周辺では、マーカーを発現する軟骨芽細胞様細胞が観察された。皮膚においても靱帯細胞と同様に血管周囲にマーカーが発現しているか現在確認中である。 患者遺伝子サンプルについては、画像と遺伝子型との関連について解析中であり、さらに靱帯および皮膚細胞の性質との関連性について調べているところである。
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