平成25年度は脊柱靱帯由来細胞の性質評価として酵素処理法にて細胞を単離した。Fluorescence-activated cell sorterを用いて、間葉系幹細胞に特徴的な細胞表面マーカーであるCD34陰性、CD105陽性を満たす細胞を選別した。各群での細胞のコロニー形成能、骨分化能、脂肪分化能、軟骨分化能および各分化関連遺伝子の発現を検討し、コロニー形成能は単細胞培養にて評価を行った。コロニー形成能は対照群と骨化症群で両群間に有意差を認めなかった。骨分化誘導培養後のAlizarin Red S染色の吸光度を計測すると、対照群に比較し、骨化症群は有意に骨分化能が高かった。ALP活性は誘導開始時には両群間に差を認めないが、通常培養14日と誘導培養7、14日では骨化症群で有意に高値であった。脂肪分化誘導では、吸光度は対照群と骨化症群で有意差を認めなかった。軟骨分化誘導では、形成された軟骨ペレットの重量および最大径は対照群と骨化症群で有意差を認めなかった。BMP2とALPが誘導後7日において骨化症群で有意に高値であり、またRunx2が誘導後14日と21日において骨化症群で有意に高値であった。PPARγ2とLPL、Sox9、COL2A1、COL10A1の発現には有意差を認めなかった。 骨化症群の画像上の骨化形態と脊柱靱帯由来間葉系幹細胞の骨分化能との関連では、頚椎の骨化範囲の指標であるOssification indexが高い症例と胸椎に脊柱靱帯骨化を合併する症例で細胞の骨分化能が有意に高かった。 皮膚由来細胞の骨分化誘導培養後のAlizarin Red S染色の吸光度は対照群に比較し骨化症群で有意に高かった。ALP活性は両群とも経時的に増加したが、群間に有意差を認めなかった。骨分化関連遺伝子発現は、BMP2、Runx2、ALPとも骨化症群で発現が高い傾向を認めたが群間に有意差を認めるには至らなかった。
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