研究概要 |
脊髄損傷の新たな治療法として低出力体外衝撃波治療が損傷脊髄の二次傷害を防ぎ麻痺の回復に有効か検討した.【方法】SDラットの第9-11胸椎椎弓を切除し重錘落下装置(NYU Impactor)を用いて第10胸椎高位で脊髄損傷を作製した. Sham群, Sham-衝撃波群(Sham-SW群), 脊髄損傷群(SCI群)と脊髄損傷-衝撃波照射群(SCI-SW群)の4群に分け, Sham-SW群とSCI-SW群は損傷脊髄部位に低出力衝撃波を照射した. 条件はNishidaらの虚血心筋への方法を参照した. 損傷後1, 7, 14, 21, 28, 35, 42日でBBB scoreを用いて下肢機能を評価した(各群n=6). 損傷後7,21日の時点で各群の脊髄組織を取り出しRT-PCRを用いて血管新生因子であるVEGFとその受容体Flt-1、神経栄養因子であるBDNFとその受容体TrkBのそれぞれのmRNAを調べた.【結果】Sham群とSham-SW群はBBB scoreが満点で麻痺は認められなかった. SCI群とSCI-SW群は損傷後21日までは有意差がなかったが、損傷後28,35,42日でSCI-SW群に良好な回復を認めた(P<0.05). 損傷後42日のscoreはSCI群が13±0.9点,SCI-SW群17±1.5点であった。Sham-SW群はSham群に比べ損傷後7日でVEGF, Flt-1, BDNFのmRNAが有意に上昇した.損傷後7日でSCI群ではsham群に比較しVEGF, Flt-1, BDNF, TrkBのmRNAが有意に低下し、SCI-SW郡ではSCI群に比べ全て有意に上昇していた(P<0.05).VEGF, Flt-1, BDNF, TrkBのmRNAは損傷後21日で7日に比べ上昇を認めたが、SCI群とSCI-SW群間に有意差は認めなかった.
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