研究概要 |
【目的】脊椎疾患、脊髄損傷などで続発する神経障害性疼痛は難治性であり、臨床の現場で治療は困難を極めている。これまでの研究では神経障害性疼痛の原因を坐骨神経結紮モデルにより解析し、Noggin遺伝子の発現低下がみられた。今回の研究の目的は坐骨神経結紮によりNoggin遺伝子が減少することがわかったが、タンパクレベルでの発現はどうか。減少したNogginをくも膜下腔から投与し、アロディニアの改善が得られるかどうか。正常ラットにNogginのアンタゴニストであるBMP4を投与することにより、アロディニアを惹起するかどうか。 【方法】Western blot : CCI後2週の時点で腰膨大部からタンパクを抽出。抗体は以下を使用した。 正常ラットくも膜下腔へのBMP4投与:正常ラットL3/4椎間にAlzet Pump(2週間用)を用いてRecombinant muse BMP4を投与、1週毎にvon Frey testを行った。 CCIラットくも膜下腔へのNoggin投与=CCI 2週後、同様にRecombinant mouse Nogginを投与、1週毎にvon Frey testを行った。 【結果】Western blot : pSmad1, Noggin, BMP4について行った。Nogginのタンパクレベルでの減少はなく、BMP4の増加もなかった。pSmadlはCCIでむしろ減少していた。 正常ラットくも膜下腔へのBMP4投与:正常ラットくも膜下腔にAlzet pump2週用を用いて、BMP4を投与した。PSS, BMP4投与、いずれもvon Frey testで5.46以上であり、アロディニアを誘発しなかった。なおCCI 1週間後のデータは平均4.88であった。 CCIラットくも膜下腔へのNoggin投与:CCI後2週経過時点でNogginをAlzet pump(2週用)にいれて、くも膜下腔にチューブを留置した。Noggin濃度は10nanoから10microgram/mlまでとし、PBSをコントロールとした。10nano,2micro,10microgram/mlでアロディニアの軽減がみられたので、3濃度について、Nを増やして実験を行った。 Noggin濃度10nano, 2micro, 10microgram/mlについてCCI 2週後にくも膜下腔投与を行った。投与後1週間にて、分散分析にてPBSに対して統計学的有意差を認めた。 【考察】Nogginのくも膜下腔投与により疼痛の改善が得られたため、今後NogginのFunction-bloeking antibodyを用いてNogginの働きを抑えることにより疼痛の改善が得られるかどうか検討する予定です。
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