研究概要 |
H24年度は、ラット腕神経叢節前損傷モデルに対するp75NTR抗体の効果について検討を行った. Wister rat30匹を用い、右腕神経叢下神経幹を展開.そのまま閉創したsham群(以下S群),下神経幹を引き抜いて節前損傷を発生させた後に生食10μlを投局所投与したコントロール群(以下C群)、下神経幹を引き抜いて節前損傷を発生させた後にp75NTR抗体10μlを局所投与した群(以下p75群)を作成した(各群10匹). 疼痛行動は機械刺激(von Frey)及びCatWalk(歩行解析)を使用し,術後0,3,6,9,12,15,18,21日に評価した. 組織学的評価は術後7・21日目に脊髄・DRGを採取,免疫組織化学染色法を用い脊髄をGFAP及びIba-1で染色した. 結果、von FreyではShamを除く両群で術後3日で疼痛過敏が見られたがp75群はC群に比し術後6日以降21日まで疼痛過敏が有意に減少していた(p<0.01).CatWalkの接地圧はp75群で術後6日以降に有意に改善した(p<0.01). 免疫染色では, GFAP陽性細胞数はp75群とC群に有意差を認めなかったが,Iba1陽性細胞数はp75群はC群に比し有意に減少した(p<0.01).以上の結果から、腕神経叢節前損傷モデルに対してp75NTR抗体が疼痛を抑制する可能性があることが示唆された.特に脊髄でのmicroglia活性が抑制されておりp75NTR抗体の疼痛抑制機序に関与することが示唆された.
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