研究課題/領域番号 |
23592168
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
尾形 直則 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (30291503)
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研究分担者 |
森野 忠夫 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (20380248)
堀内 秀樹 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (60598762)
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キーワード | Spinal cord injury / BDNF / gene therapy / macrophage |
研究概要 |
(目的)脊髄損傷に対する遺伝子治療の開発の一つとして、神経栄養因子であるBDNFを過剰発現した自己マクロファージを硬膜内に注射し、損傷組織にmigrationさせ、損傷組織近傍で神経栄養因子を産生させる試みを行った。 (方法)ラット脊髄を第11胸椎ラベルで椎弓切除し硬膜を露出させ、硬膜上からMASCIS Impactorを用いて重錘を25mmの高さから落として脊髄損傷を作成した。ラット腹腔内から採取した自己マクロファージをBDNFのcDNAを組み込んだベクターを含む液体中(ベクター0.1ug/ul)に浮遊させ、電気的遺伝子導入装置Gene Pulser (BioRad社)を用いて電気的遺伝子導入(エレクトロポーレーション)を行った。この遺伝子改変マクロファージをL4/5椎間より硬膜内に25G針を用いて注入した。下肢の運動機能はBBB Scaleで評価した。 組織学的検討はヘマトキシリンーエオジン染色に加え、Luxol fast blueを用いた髄鞘染色で白質の状態を観察する。また、抗BDNF抗体を用いた免疫染色でBDNFの過剰発現を評価した。この研究のControlとしてはBDNFを含まないGFPのみを発現するベクターを用いた(Vehicle)。 (結果)Vehicle群に比較しBDNF遺伝子を過剰発現させたマクロファージを注入したラットでは、脊髄損傷後2週間から8週間にかけて有意な下肢運動機能改善が見られた。損傷部の組織学的検討では、損傷組織の中心部周辺の灰白質に、CD11b抗体で染色されるマクロファージが多数見られ、この細胞は抗GFP抗体でも染色されることから、遺伝子改変され、注入された腹腔内マクロファージであることが確認された。この細胞は抗BDNF抗体でも染色されることより、硬膜内に注入された自己マクロファージが損傷組織内にmigrateし、そこでBDNFを産生したことが、下肢運動機能の改善につながったと思われた。
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