研究概要 |
慢性疼痛は、心理・社会的因子の関与により疼痛が遷延化する。ストレスなどの因子は、精神医学的問題に影響を及ぼすことが知られている。アロディニアの症例では、非侵害刺激で疼痛が誘発される。さらに、繰り返しの疼痛刺激が記憶され、疼痛の慢性化に関連すると報告されている。本研究の目的は、ラット髄核留置モデルにおける疼痛関連行動に対して、非侵害刺激が与える影響を検討することである。方法SD系雌ラット(n=48)を用いた。髄核留置(NP)群は、髄核を左第5腰神経に留置した。シャム群は、髄核留置群と同じ手術手技で髄核を留置しないモデルを用いた。実験系は、髄核留置群とシャム群をさらに2群に分類し、非侵害刺激を加える群と加えない群の4群:NP-局所(Sti)(+), NP-Sti(-), Sham-Sti(+), Sham-Sti(-),に設定した。左足底に絵筆を用いて、毎日5分間の非侵害刺激を14日間連続で施行した。疼痛閾値は、術前と術後42日まで計測した。ストレスの程度を反映する血清コルチコステロンとNK細胞活性を術後14日目に測定した。髄核留置群では、疼痛閾値は術後28日間低下し、術後35日目から回復した。非侵害刺激を加えた髄核留置群とシャム群では、疼痛閾値が術後42日間低下した。血清コルチコステロンとNK細胞活性は、4群間で有意な差は認められなかった。NP群とシャム群に、対して全身ストレス負荷として、拘束負荷(RS)(+), NP-RS(-), Sham-RS(+), Sham-RS(-)を設定した。各計測時点での、後神経節を採取した。現在、PCR法を用いて、炎症性サイトカインの発現変化について解析中である。
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