研究課題/領域番号 |
23592171
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
岡田 充弘 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40309571)
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研究分担者 |
高松 聖仁 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究医 (30295688)
上村 卓也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 後期研究医 (10597321)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 末梢神経絞扼性障害 / 末梢神経血流評価 |
研究概要 |
本研究は、末梢神経絞扼性障害における神経自体への除圧の必要性と、その除圧範囲を客観的に決定することを目的に行なっている。末梢神経の絞扼される期間が長期に及び、さらに絞扼が高度になれば、末梢神経絞扼部位を中心に神経上膜・周膜の線維化が起こるとともに神経束内・外の血流循環障害が起こることが知られている。現在、末梢神経絞扼性障害の手術において、末梢神経自体への除圧の必要性を説く治療法はほとんどない。末梢神経を圧迫している構造物のみを切離しても、重症例においては、上述の通り神経構成組織が線維化しており、この線維化した組織が神経自体への圧迫の原因となって、手術成績が不良となっている場合が考えられる。神経構成組織の線維化を切離することで、神経への除圧を十分にすることができ、臨床成績を向上させることができるのではないかと考えた。神経構成組織への除圧の効果を評価する方法が必要であるが、末梢神経において適切に評価できる方法がなかった。近年医療技術の進歩に伴い、近赤外蛍光画像装置を用いれば微小な血管の造影することが可能となった。末梢神経絞扼部位の除圧が十分にできれば、絞扼されることで生じていた神経束内・外の血流障害が改善されることが予測される。近赤外蛍光画像装置を用いて、末梢神経自体への除圧により、神経の血流がどれだけ増加したかを計測し、除圧の効果を確認した。更に、電気生理学的検査も用いて、末梢神経自体への除圧の影響を検討した。この研究により、どの程度の重症度であれば末梢神経自体への手術操作を行うべきかという指標を作成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
旧型の近赤外蛍光画像装置では接写することができず、神経構成組織による切離効果をはっきりと捉えることが困難であった。新型の近赤外蛍光画像装置を購入することで、接写することができ、ピントも合わせることができるようになった。新型導入後は、神経の微小血流の評価が容易となり、研究はおおむね順調にすすんでいる。
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今後の研究の推進方策 |
研究を引き続き行い、総数を増やしていく。また、末梢神経絞扼性障害の治療成績は短期的(1,2年)な症状の経過だけではなく、長期的(5年以上)な症状の経過を観察する必要がある。そのため、術後長期に渡り、定期的に症状の経過を評価していく。症状の評価としては、自覚症状・電気生理学的検査による神経伝導速度・筋力・モノフィラメントを用いた知覚検査等を用いる。また、必要に応じて基礎的実験を行い、我々の治療方法の理論的な裏付けを行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
末梢神経の血流評価のための造影剤と、電気生理学的検査で使用する電極等の消耗品の購入費用に充てる。また、成果発表の旅費としても使用する予定である。
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