研究課題/領域番号 |
23592173
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
吉田 宗人 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60201018)
|
研究分担者 |
中塚 映政 関西医療大学, 保健医療学部, その他 (30380752)
谷口 亘 関西医療大学, 保健医療学部, 准教授 (20453194)
|
キーワード | 脊髄損傷 / ROS / パッチクランプ法 / 脊髄膠様質 / 神経障害性疼痛 / フリーラジカル / 活性酸素種 / スカベンジャー |
研究概要 |
本年度は昨年度に報告したROSドナーの1つであるtert-butylhydroperoxide (t-BOOH)による脊髄膠様質細胞の自発性興奮性シナプス後電流 (spontaneous excitatory postsynaptic current: sEPSC)の発生頻度ならびに振幅の増加作用に対する抗酸化剤の抑制効果について検討した。成熟ラット脊髄スライスにパッチクランプ法を用いて、膜電位固定下 (-70 mV)でsEPSCを記録し、non-specificなscavengerであるN-tert-Butyl-α-phenylnitrone (PBN) (10 mM), 4-hydroxy-2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl (TEMPOL)(10mM), N-acetyl cysteine (NAC) (10mM)の3種類の存在下でそれぞれt-BOOHを灌流投与した。その効果、それぞれの抗酸化剤の存在下ではt-BOOHのsEPSCに対する増強効果は減弱したが、各作用の大きさには差が見られた。PBN存在下ではsEPSCの頻度・振幅ともに統計学的に有意差のある抑制を認めた。NAC存在下では頻度のみ統計学的に有意差のある抑制を認めた。一方、これらと同じnon-specificなscavengerであるTEMPOL存在下では数値上は抑制を若干認めるものの、統計学的に有意差のある抑制は認められなかった。TEMPOLのみ抑制効果が弱かった理由として、superoxide dismutase mimeticとしての作用が強く、過酸化水素の一時的な上昇を招くためではないかと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ROSの脊髄膠様質ニューロンに対する興奮性増強作用の分子メカニズムについて解明を進めることができた
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、脊髄膠様質ニューロンに対するROSの興奮性増強作用のメカニズムを解析する。ROSの作用するイオンチャネルとしてTRPV1,TRPA1チャネルを想定している。今後、これらとROSの関連に関してメカニズムを解析していく予定である。また、この結果を踏まえて、脊髄損傷後疼痛モデルラットに対するin vivoパッチクランプ法による解析を行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、研究計画に基づき、解析を進めていく。研究費はラット代、試薬代などに充てていく予定である。
|