研究課題/領域番号 |
23592174
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
橋爪 洋 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10326382)
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研究分担者 |
中塚 映政 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (30380752)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 神経障害性疼痛 / 動物モデル / 後根神経節 / パッチクランプ法 |
研究概要 |
【目的】神経根傷害部位の違いにより惹起される疼痛強度の違いについて、動物モデルを用いて行動学、組織学、電気生理学的に解析した。【方法】Sprague-Dawleyラット(n=50)を使用した。右L5 laminectomy、foraminotomyを行い、右L5神経根全体を露出した群をB群(sham)。6-0絹糸でDRGより2mm中枢側を結紮した群をC群、DRGを結紮した群をD群、DRGの2mm末梢側を結紮した群をE群とランダムに選択し処置をした。非手術モデルをA群とした。処置後約1週で、1.10g von Frey hair 10回刺激による逃避回数、2.L5髄節の脊髄後角における活性化ミクログリア発現数、3.in vivo patch clamp法を用いたL5髄節の脊髄後角での興奮性シナプス後電流(EPSC)の頻度、振幅を調べた。【結果】von Frey hair(各群n=10)は、A群0.3±0.2回、B群1.1±0.5回、C群3.9±0.5回、D群7.9±0.5回、E群6.2±0.3回反応した。ミクログリア数(各群n=5)はA群77.2±2.5、B群80.0±2.1、C群202±8.0、D群354±8.1、E群292±6.6であった。EPSC(各n=10)の頻度はA群9.0±1.4Hz、B群9.4±1.3Hz、C群14.6±1.7Hz、D群19.2±2.0Hz、E群17.3±2.1Hz、振幅はA群12.3±0.6pA、B群14.4±1.0pA、C群19.8±1.6pA、D群37.7±2.2 pA、E群28.3±2.4pAであった。全ての項目でAB群間に有意差はなく、BC、BD、BE群間、CDE群間で有意差を認めた。【考察】本研究結果は、根性疼痛の強度が神経根傷害部位に依存する可能性を示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度はラットを用いて脊柱管内病変(神経根結紮)、椎間孔病変(後根神経節結紮)、椎間孔外側病変(脊髄神経結紮)を作成して各病変における神経性疼痛メカニズムの違いを明らかにする予定であった。計画では神経根処置後3日(急性期:各群10匹)と10日(慢性期:各群10匹)、21日(終息期:各群10匹)の時点で痛覚過敏のデータを採取後にパッチクランプ法による電気生理学的な観察と組織学的検索を行う予定であったが、実際は処置後7日目の状態を観察することにより、DRG周辺の結紮部位の違いによる疼痛強度の変化を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は当初の計画どおり、ダブルクラッシュ病変のモデル作成と疼痛メカニズムの解明を行う。ダブルクラッシュ病変の神経結紮順位による神経性疼痛の性質の違いについても検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験の他、学会等での研究成果発表に研究費を使用する予定である。
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