研究課題/領域番号 |
23592174
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
橋爪 洋 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10326382)
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研究分担者 |
中塚 映政 関西医療大学, 保健医療学部, その他 (30380752)
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キーワード | 神経因性疼痛 / 椎間孔外側障害 / 動物モデル / パッチクランプ法 / ミクログリア |
研究概要 |
【方法】Kawakamiらが報告したラットの神経根結紮モデル(Spine19: 1780-94,1994)、Chungらが報告した脊髄神経結紮モデル(Pain50:355-63, 1992)を元に、①DRGより中枢2㎜を結紮したモデル、②DRG結紮モデル、③DRGより2㎜末梢を結紮したモデルを各々作成して、各モデル間でvon Frey hairを用いた疼痛誘発試験、インビボ・パッチクランプ法による脊髄後角細胞における興奮性シナプス後電流(excitatory postsynaptic current;EPSC)、L5髄節の脊髄後角における活性化ミクログリアの発現数の各項目から根性疼痛発現強度につき検討した。 【結果】von Frey hairを用いた疼痛誘発試験では①群3.9±0.5回、②群7.9±0.5回、③群6.2±0.3回であった(n=10)。EPSCの頻度は①群14.6±1.7Hz、②群19.2±2.0Hz、③群17.3±2.1Hz、振幅は①群19.8±1.6pA、②群37.7±2.2 pA、③群28.3±2.4pAであった(n=10)。L5髄節の脊髄後角における活性化ミクログリアの発現数は、①群202±8.0、②群354±8.1、③群292±6.6であった(n=5)。 これらを統計処理したところ(ANOVA、Tukey-Kramer法)、いずれの項目においても有意差を認め、その強度は②群、③群、①群の順となった。 【意義】腰神経傷害部位によって誘発される疼痛の程度と脊髄内変化に差が生じることが明らかとなり、腰神経傷害部位によって根性疼痛の発現強度が異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画に従い、近位先行結紮モデル(DRGの近位を結紮して4週後に遠位を結紮する)、遠位先行結紮モデル(DRGの遠位を結紮して4週後に遠位を結紮する)の作成を試みたが、頻回の麻酔薬を使用することへのラットの肉体的、精神的負担増からか飼育継続が困難であった、再処置時における再結紮は腰神経そのものが周辺組織と高度に癒着しており困難であったなど、一度処置を行ったモデルラットを再処置する行為が、非常に困難であった。そのため研究計画を一部修正し、ダブルクラッシュモデル(後述)での疼痛メカニズム解明を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在ダブルクラッシュ病変のモデル作成と疼痛メカニズムの解明について研究を継続している。同時損傷モデル(DRGより近位とDRGを同時に結紮する)、(DRGとDRGより遠位を同時に結紮する)モデルを作成し、平成23-24年度と同様の項目で評価をすべく、現在実験を継続している。今後その結果を各学会で発表、国際誌への投稿を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
モデル動物の購入、パッチクランプ法の実施、組織染色などに要する物品費、成果発表のための旅費などに全額使用する予定である。
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