研究課題/領域番号 |
23592179
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
阿江 啓介 東京医科歯科大学, 医学部, 非常勤講師 (20376726)
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研究分担者 |
早乙女 進一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 寄付講座教員 (20401391)
大川 淳 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30251507)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 骨補填材 / 注入硬化型 / 生体吸収性 |
研究概要 |
骨折などで生じた骨欠損は、小さな骨欠損であれば時間経過とともに骨組織は再生し治癒する。しかし、骨欠損が大きい場合、骨補填材や自家骨を移植して、再生治癒を促す必要が生じる。近年の骨補填材の進歩により様々な素材や性状の骨補填材が使われるようになってきた。中でも注入型の骨補填材は、注入するだけで移植できるため、手術時の操作性がよく、小侵襲で済む。しかし、既存の注入型骨補填材は硬化後にはほとんど吸収されず半永久的に生体内に残存し、長期的には問題となる可能性が残る。本研究の目的は、ハイドロキシアパタイト/コラーゲン複合体(HAp/Col)を用いた、注入硬化型の生体吸収性骨補填材を開発し、その有効性を評価すること、および薬剤担体としての可能性を評価することである。【HAp/Col顆粒の作製】HAp/Col線維を生理食塩水と混合しペースト状にした後、顆粒成形器を用いて顆粒を形成した(ペーストを小孔より射出し自然乾燥させた)。これを140℃で加熱脱水縮合反応させた後、篩にかけ顆粒径で分別した。これにγ線滅菌を実施し、以降の実験に用いた。【HAp/Col-リン酸カルシウムペースト複合体の作製】使用したHAp/Colの顆粒は大(0.84 - 1.00mm)と小(0.12 - 0.59mm)の2種類で、リン酸カルシウムペーストは市販のものを使用した。HAp/Col顆粒とリン酸カルシウムペーストの粉剤を混合し、最後に液剤を加え硬化させた。なお、効果前は注入が可能なペースト状であった。【力学試験】複数の条件で材料を作成し力学試験を実施した結果、リン酸カルシウムペーストの割合が大きいと強度が高くなる傾向を認めたが、いずれの条件でも4-7MPaの圧縮強度を有していた。【移植実験】上記で作成した複合体(硬化体)をウサギの大腿骨に移植をし、材料の吸収性と骨伝導能を評価する実験が進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、本年度中に材料が移植後に吸収されることまで確認が終了する予定であったが、実際には移植を行った時点までしか進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、【1.移植後長期評価】前年度に行った移植は12週までの短期評価である。本研究で開発される骨補填材は12週という短期では吸収されないと考えられるので、完全に吸収されるまでの長期評価を行う。【2.大型骨欠損モデルでの評価】材料の吸収速度、骨補填材としての性能には、補填量の影響が大きい。そこで、小動物の移植実験で得られた結果をもとに最適化した補填材を大型動物の大型骨欠損モデルに使用し、骨補填材としての骨伝導能評価、吸収性の評価などを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
動物実験での評価が中心になるので、費用は主に、動物実験代、飼育費、組織評価関連の消耗品などに使用する予定である。
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