研究課題/領域番号 |
23592183
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
松峯 昭彦 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00335118)
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研究分担者 |
淺沼 邦洋 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20378285)
松原 孝夫 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30422827)
中村 知樹 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (50467362)
豊田 秀実 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60525327)
駒田 美弘 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80186791)
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キーワード | ポリオウイルス / ポリオ生ワクチン / 肉腫 / 細胞死 / 細胞融解療法 / CD155 / アポトーシス |
研究概要 |
難治性の悪性骨軟部腫瘍の予後改善を目的に、弱毒化ポリオウイルス(以下PV)を用いた細胞融解療法の開発を計画し研究を進めた。これまでに、1)ヒト肉腫細胞株(骨肉腫4株、軟部肉腫6株)のCD155の発現を検討したところ、①すべての細胞株で、mRNAレベル、タンパクレベルでの発現を認め、②各肉腫細胞株にin vitroでPV(Sabin株1型)を感染させると、全細胞株で時間依存・用量依存的な殺細胞効果を認め、③PV感染後カスパーゼ3/7が活性化することを確認した。 そこで、今年度は、ヌードマウス背部に移植したヒト線維肉腫細胞株HT1080にPV (Sabin 1株)を腫瘍内投与することによりPVの抗腫瘍効果を検討した。PV投与群は、PBS投与群と比較して有意に腫瘍増大が抑制された。組織学的には、PV投与群は広範囲に腫瘍壊死を認め、壊死部の周囲にはTunnel陽性の腫瘍細胞が散在していた。また、PV投与群は生命予後が有意に改善した。in vivoの系でも、PVは強力な抗腫瘍効果を有していることが明らかとなった。 また、48人の軟部肉腫患者から採取した臨床サンプルにおけるCD155の発現をリアルタイムRT-PCR法を用いて検討したところ、全例でCD155遺伝子が発現しており、高発現群と低発現群を比較すると高発現群では、有意に無再発期間が短いことがわかった。CD155高発現肉腫は、腫瘍のlocal aggressivenessが高いことが推測された。 さらに、現在、PVによる細胞融解療法の安全性の検討のA/Jマウス由来の悪性線維性組織球腫細胞株(MuSS)にCD155を発現させたMuSSCD155 を作成し、これをCD155トランスジェニックA/Jマウス(CD155tgA/Jマウス)に移植し、PVの副作用の評価を行っている。
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