研究課題/領域番号 |
23592188
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
横田 和典 広島大学, 病院, 教授 (20403529)
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研究分担者 |
越智 光夫 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70177244)
亀井 直輔 広島大学, 病院, 病院助教 (70444685)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 脂肪組織由来幹細胞 / 骨格筋再生 / 骨格筋損傷 / 骨格筋萎縮 |
研究概要 |
【目的】脂肪由来幹細胞は採取に際する危険や倫理的問題が少なく移植細胞ソースとして有望視されている。筋再生への応用として、これまでも皮下に筋組織を作る報告や心筋再生への利用研究の報告はあるが、骨格筋損傷モデルの再生に応用した報告はない。また、培養による脂肪由来幹細胞の樹立が多く報告されているが、時間を要するために骨格筋再生にとって重要なタイミングを逃してしまう可能性が高い。そこで特殊な条件の酵素と遠心分離(Celution)によって単離した脂肪組織由来再生細胞(adipose tissue-derived regenerative cell: ADRC)を用い骨格筋損傷後の筋再生促進効果について明らかにすることを本研究の目的とした。【方法】ヒト皮下脂肪組織よりCelution を用いてADRCを単離した。9週齢雌ヌードラットの前脛骨筋筋腹中央部に損傷を加え、筋膜縫合を行い損傷部にヒトADRCを注入した(ADRC群)。またコントロールとしてヒト単核球を投与した群(MNC群)とPBSのみを損傷部に注入した群(PBS群)を作製した。評価として、筋収縮力評価および組織学的評価を行った。【結果】ADRC群は、損傷後のマッソントリクローム染色での筋修復部の筋径においてコントロール群より有意に大きく、損傷部の瘢痕面積においてはコントロール群よりも有意に小さかった。更に腓骨神経電気刺激時の筋収縮力においてもADRC群はコントロール群と比べ有意に大きくなった。筋再生マーカーと血管再生マーカーを用いた免疫染色ではADRC群の方がコントロール群と比べ有意に筋再生効果、血管再生効果に優れていたが、筋修復部においてヒト由来細胞はほとんど見られなかった。【考察】ヒトADRC移植によって筋修復促進効果を認めたが、これは移植細胞自体の分化よりも主にパラクライン効果を介したものと推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に計画していたヒト脂肪組織から脂肪組織由来細胞を採取する手技は十分に確立した。採取した細胞のキャラクター解析はまだ終了していないが、平成24年度に計画していた脂肪組織由来再生細胞をヌードラットの骨格筋損傷モデルの損傷部に移植する実験を行い、血管再生効果を介した早期の骨格筋修復促進効果があることを明らかにできた。よって、全体として研究は順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は肪組織由来再生細胞の移植による骨格筋再生促進の機序の解明や採取した細胞のキャラクター解析を引き続き行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
骨格筋再生促進の機序の解明に必要なreal-time PCR、ウェスタンブロットや細胞のキャラクター解析に必要なFACS、分化培養を行うため、これらに必要な試薬やその他消耗品の購入に研究費を使用する。
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