研究課題/領域番号 |
23592199
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
石井 賢 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00276289)
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研究分担者 |
松本 守雄 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (40209656)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 整形外科 / 感染 / 生体材料 / 抗菌 / 細菌 |
研究概要 |
1.Bacterial luciferaseを発現する細菌株の作製:分子画像診断機器には米国Xenogen社のIVISシステムを使用。はじめに安定した増殖能とlucifererase発光を持つ黄色ぶどう球菌の作製とクローニングを行った。予備実験では、プレート上(in vitro)と生体内(in vivo)の細菌は安定してbioluminescenceを発現している。これらの長期にわたる生存や発光維持の評価ならびに定量分析を遂行した。2.マウス骨髄炎モデルの確立と評価:マウス大腿骨髄腔内に一定量の細菌を注入し、慢性骨髄炎モデルを作製。予備実験データで経時的に安定した細菌発光を確認している。さらにELISA 法を用いて血中炎症性サイトカイン値とCRP 値を測定し、同時に組織学的評価を行った。以上より研究期間中により安定した再現性のある動物モデルを完成させた。3.抗菌性生体材料の作製:生体材料の作製においては、現在広く使用されているチタン合金やPEEK などのプラスティックなどの生体材料を中心に銀イオンにて最適なコーティング方法を開発。過去に多くの銀を使用した抗菌加工法があるが、いずれも酸化銀による活性酸素により抗菌性を有するため、生体内で抗菌効果は期待できない。本研究の銀イオンによる抗菌効果は抗菌作用機序が異なり、有用である。すでに試作品を開発し、in vitroで効果を発揮していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2011年4月の段階では、代表者と分担者の2名で抗菌性生体材料の開発と感染性疾患の治療の研究・実験を行う予定であったが、優れた研究成果が得られ、企業との共同研究と情報交換を開始し、臨床応用を目指している。特に企業との国内外での共同研究の遂行が必要不可欠となり、新たに研究分担者を追加申請中である。臨床現場における日本発の新たな治療法の確立も実現可能かと考える。
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今後の研究の推進方策 |
将来的には本抗菌技術を日本あるいは欧米で臨床応用すべく、企業へのライセンス活動に移行する。日本発の新たな治療法の確立も視野に入れている。1.抗菌性生体材料を用いて、前述の感染症動物モデルにおける生体材料の抗菌における機能的評価を行う。さらに経時的炎症性サイトカイン値とCRP 値を測定し、同時に組織学的評価を行い比較検討する。2.抗菌性生体材料の臨床応用へ向けての試作品の作製3.抗生物質の分子標的治療の確立:平成19―20 年度の同研究費助成(課題番号:19500328)により達成された蛍光プローブを用いた炎症部位のイメージング法の結果を基としてプローブに抗生物質を付加し抗生物質を用いた新たな分子標的治療法の開発を行う。具体的には主にMRSA をターゲットとして、バンコマイシン(VCM)をプローブに付加する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験用試薬の輸入に時間を要し繰り越し金が発生した。来年度はこれらの試薬に加え、動物の購入や抗菌性生体材料の試作品開発費に本研究費を使用する。また、研究の進度によっては、データ解析の委託費用、コンピュータソフトの購入を検討している。
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