研究課題/領域番号 |
23592199
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
石井 賢 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00276289)
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研究分担者 |
松本 守雄 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (40209656)
塩野 雄太 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60445228)
蔵本 哲也 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70445302)
吉岡 研之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30528857)
石濱 寛子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90528308)
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キーワード | 整形外科 / 感染 / 生体材料 / 抗菌 / 細菌 |
研究概要 |
初年度に引き続き、抗菌性生体材料の開発を実施した。研究計画で言及したように、銀イオンを用いて既存の生体材料(チタン合金と合成樹脂であるPEEK)への付加・修飾方法の確立が実現できた。 抗菌性生体材料を抗菌加工をしていない生体材料(コントロール群)とin vitroとin vivoの環境下において、光イメージングでの細菌生存率や生体内局在、病理組織による検討、電子顕微鏡による検討を行った結果、抗菌性生体材料において有意な殺菌・抗菌効果をみとめた。 さらには当初平成25年度に実施を予定していた抗生物質の分子標的治療の確立にも着手した。各種がん治療における分子標的治療法は、がん細胞と正常細胞の違いを遺伝子レベル・分子レベルでとらえ、がんの増殖を特異的に抑えて治療する。臨床上問題となる難治性感染症の1つにMRSA感染があるが、本病態も同様に高濃度の抗生物質の長期投与により多くの副作用を生じ、使用継続困難になる症例や多臓器不全に陥る症例も少なくない。今回は、平成19―20年度の同研究費助成(課題番号:19500328)により達成された蛍光プローブを用いた炎症部位のイメージング法の結果を基としてプローブに抗生物質を付加し抗生物質を用いた新たな分子標的治療法の開発を行った。具体的には主にMRSAをターゲットとして、バンコマイシン(VCM)をプローブに付加した。プローブは炎症部位に特異的に集積し、予備実験では感染巣の細菌増殖の抑制効果が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2011年4月の段階では、代表者と分担者の2名で抗菌性生体材料の開発と感染性疾患の治療の研究・実験を行う予定であったが、優れた研究成果が得られ、企業との共同研究と情報交換を開始し、臨床応用を目指している。特に企業との国内外での共同研究の遂行が必要不可欠となり、新たに研究分担者を追加し承認を得た。臨床現場における日本発の新たな治療法の確立も実現可能かと考える。
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今後の研究の推進方策 |
将来的には本抗菌技術を日本あるいは欧米で臨床応用すべく、企業へのライセンス活動に移行する。日本発の新たな治療法の確立も視野に入れている。 生体内に埋没する抗菌性生体材料と抗生物質の分子標的治療の確立(本年度予備実験すみ)はともに新規の発明であり、是非とも臨床応用を目指したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験用試薬の輸入に時間を要し繰り越し金が発生した。来年度はこれらの試薬に加え、 動物の購入や抗菌性生体材料の試作品開発費に本研究費を使用する。 また、研究の進度によっては、データ解析の委託費用、コンピュータ、ならびにソフトの購入を検討している。
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