研究課題
本研究は有痛性関節障害について、疼痛の原因とその対策に関するものであり、有痛性上肢関節疾患約40例の検体を用いて疼痛に関する因子について検討を行った。臨床面については機能評価/うつなどの評価を質問用紙方式で術前/術後一年の時点で評価した。関節内の因子についてはPCR/ELISA法を用いて滑膜に発現する各種サイトカインなどについての検討を行った。これらの結果から、術前後の疼痛・機能障害とある種の因子の相関が認められていた。全体的な傾向として、患者の感じる疼痛の強さとうつの指標が強く関連を認めていることが確認されていた。疼痛の反応性についての指標は術前後では大きな反応をみせていなかった。関節内の因子については因子間の関連性は認めるものの、臨床評価と個別に関連性を強く認めるものはなかった。また、疾患別・治療法別での評価を行い、その群内での傾向についても調査した。それぞれの疾患群・治療法群においては各種因子と臨床結果・疼痛に差があることが確認されている。これらの詳細な結果については今後学会・専門誌にて発表を予定している。また、期間内に結果を得ることは出来なかったが、臨床的な結果を踏まえ、基礎的な実験による裏付けを行っていく予定である。なお、上記の検討と並行する形で上肢関節障害について、変形性関節症およびキーンベック・尺側手関節障害・舟状骨偽関節についてはこの研究期間に複数の発表・論文報告を行った。本研究から確認できた事をまとめると、関節障害としての疼痛に関しては局所の因子がその疼痛にある程度関与しているが、疼痛自体の強さ/程度については疾患により差が大きく、疾患・治療方法ごとに評価して対処を行う必要があり、疾患の原因とその診断を確実にして適切に対処を行う必要があると示唆された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
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