研究課題/領域番号 |
23592212
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前 達雄 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10569734)
|
研究分担者 |
中田 研 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00283747)
冨田 哲也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 寄附講座准教授 (30283766)
北 圭介 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (30588869)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 膝前十字靭帯 / 膝キネマティクス |
研究概要 |
平成23年度においては、前十字靱帯(以下ACL)損傷膝の大腿骨-脛骨の位置関係が、反対側健常膝と異なることの実証が目的であった。 我々は片側ACL損傷患者6名(男性2例、女性4例、平均年齢21歳)を対象とし、術前に両膝CT画像を仰臥位、膝伸展位で撮影し、患健側の大腿骨-脛骨位置を比較検討した。CTで得られたDICOM dataをworkstation(Dell Precision M6500; Dell, Round Rock, TX)に送り、VTK(Visualization Tool Kit; Kitware Inc, Clifton Park, NY)に基づいたコンピュータープログラムを用いて三次元構成した。 次に大腿骨、脛骨の座標軸を設定し、大腿骨を基準とした脛骨の前後位置と内外旋を評価し、その患健側差にて評価した。 結果として、大腿骨に対する脛骨の位置は、ACL損傷膝では有意に2.1mm前方に、また有意差はなかったが0.5度内旋方向に転位していることが示せた。 次に、大腿骨側骨孔を解剖学的付着部に2つ、脛骨側骨孔を各線維束の付着部内に3つ作成する、解剖学的三重束ACL再建術を全症例に行った。 移植腱は半腱様筋腱を用い、膝屈曲20°、初期張力合計20N(先行研究で安全範囲と考えられる値)で固定した。 そして術後3週で同様に仰臥位、膝伸展位で患側膝のCTを撮影し、大腿骨軸に対する脛骨軸の位置を計測した。 術後3週では、術前とは逆に健側より手術側は有意に2.5mm後方に、また同様に有意差はないものの5.5度外旋方向に転位していた。 今後はさらに術後6ヶ月での大腿骨-脛骨位置の変化を計測する予定である。 同時にフラットパネルを用いて、荷重運動であるスクワット動作を行った際の、ACL損傷膝及び再建膝、反対側健常膝の大腿骨-脛骨の位置関係の解析も進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度においては、前十字靱帯(以下ACL)損傷膝の大腿骨-脛骨の位置関係が、反対側健常膝と異なることの実証が目的であった。 今までにすでに、CTを用いて健常膝と異なることを示しており、さらに現在フラットパネルでの撮影も完了し、計測も進めているところである。また、平成24年度以降に実施予定であった、再建膝における大腿骨-脛骨の位置関係の変化についても、術後3週ではあるが、CTを用いた解析において結果を出している。従って、概ね順調に進行していると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降には1.フラットパネルを用いて、荷重位の動きにおける、大腿骨-脛骨の位置を損傷膝と健常膝で比較検討する。(すでにデータ収集は終了しているので解析を行う)2.フラットパネルを用いた動的な動きを、術後においても経時的に計測する。 術後1年まで行う予定であり、平成25年度にかかる予定3.CT撮影での、大腿骨-脛骨の位置変化をACL再建術後6ヶ月で評価する。 仮説としては、健常膝と同じ位置に回復するものと考える。4.今まで及び今後の研究成果を学術集会で報告していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
消耗品等:CT画像とフラットパネルからの画像を重ね合わせるのに、現在人工関節用のソフトを用いているが、インプラントのない膝を対象とした研究であるので、さらに新しいソフトの更新が必要である。 ソフトの作成作業に取り掛かっており、完成により解析速度の向上が見込まれる。また、平成24年以降はnavigation systemを用いて、手術の問題点を精査するため、そのための消耗品が必要となる。また、先に記したforce gaugeは本体部のみで、実際の歪みを計測するためにディスポ型のひずみゲージやそれを添付する用のボンド、保護用のテープ等、及びデータの解析ソフト、並びに調査用の消耗品としてなどを計上する。旅費:研究成果発表のため、研究者2名の旅費(国内、国外)を計上する。謝金等:論文報告を行う上で、その校正をするために要する費用を計上する。その他:成果報告のために、研究会や学術集会への参加費や会場費用として計上する。
|