研究課題/領域番号 |
23592212
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前 達雄 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10569734)
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研究分担者 |
中田 研 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00283747)
冨田 哲也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283766)
北 圭介 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (30588869)
米谷 泰一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80642090)
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キーワード | 膝前十字靭帯 / 膝キネマティクス |
研究概要 |
平成23年度において、前十字靱帯(以下ACL)損傷膝の大腿骨-脛骨の位置関係を調べるため、CTで得られたDICOM dataをworkstation(Dell Precision M6500; Dell, Round Rock, T X)に送り、VTK(Visualization Tool Kit; Kitware Inc, Clifton Park, NY)に基づいたコンピュータープログラムを用いて三次元 構成し、腿骨、脛骨の座標軸を設定し、大腿骨を基準とした脛骨の前後位置と内外旋を評価したところ、損傷膝は健常膝とは異なり、脛骨が前方に転位し、内旋していることを示した。 平成24年度においては、さらにACL再建術後3週および6ヶ月における、大腿骨ー脛骨の位置関係を経時的に評価し、再建術後の膝の動態を調べた。対象は9例のACL損傷症例で、解剖学的三重束ACL再建術を施行した。これらの症例に対し、術前、術後3週および6ヶ月にCTを撮影し、大腿骨ー脛骨の位置関係を調べたところ、術前は健側と比較し1.4mm前方に転位し、2.1度内旋していたが、術後3週で2.0mm後方へ転位し、3.4度外旋しており、過制動膝であることがわかった。 さらに術後6ヶ月では0.3mm前方に転位し、0.8度外旋していた結果となり、正常膝の左右差と同程度の差となり、術後6ヶ月では正常膝と同等な位置になることが示された。 また、 フラットパネルを用いて、荷重運動であるスクワット動作を行った際の、ACL損傷膝及び再建膝、反対側健常膝の大腿骨-脛 骨の位置関係を7例のACL損傷症例に対して調べ、伸展位付近では、損傷膝は脛骨が2.3mm前方に転位し、2.4度内旋していたが、再建術後3ヶ月において脛骨は後方および外旋していた。 今後さらに術後1年まで経過を追っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度においては、前十字靱帯(以下ACL)損傷膝の大腿骨-脛骨の位置関係、およびACL再建術後3週および6か月の大腿骨ー脛骨の位置関係を経時的に評価することが目的であっ た。今年度において、CTを用いて損傷膝は健常膝と位置関係が異なっていたものが、術後3週では過制動となり、さらに6ヶ月において、正常膝の位置に戻ることを世界で初めて証明した。 さらにフラットパネルを用いた動態での経時的変化も評価中であり、平成24年度においては、術後3ヶ月までの評価を行った。現在、術後1年の撮影を行っており、これらの解析を次年度に行う予定である。 従って、概ね順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には 1.ACL損傷症例に対し、解剖学的ACL再建術を施行した術後の大腿骨-脛骨の位置関係を、フラットパネルを用いて、荷重位の動きにおける評価を術後1年でも行う。 2.今まで及び今後の研究成果を学術集会および論文にて報告していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
消耗品等:CT画像とフラットパネルからの画像を重ね合わせるのに、現在人工関節用のソフトを用いているが、インプラントのない膝 を対象とした研究であるので、さらに新しいソフトの更新が必要である。 ソフトの作成作業に取り掛かっており、完成により解析速 度の向上が見込まれる。(製品完成間近) また、ACL再建術において、張力を一定化させるためのforce gaugeを使用するため、実際の歪みを計測するためにディスポ型のひずみゲージやそれを添付する用のボンド、保護用のテー プ等、及びデータの解析ソフト、並びに調査用の消耗品としてなどを計上する。 旅費:研究成果発表のため、研究者2名の旅費(国内、国外)を計上する。 人件費:解析に時間を要するので、その解析の補助のために人件費を計上する。 謝金等:論文報告を行う上で、その校正をするために要する費用を計上する。 その他:成果報告のために、研究会や学術集会への参加費や会場費用として計上する。
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