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2011 年度 実施状況報告書

破骨細胞における新規DAP12会合受容体の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 23592214
研究機関奈良先端科学技術大学院大学

研究代表者

北川 教弘  奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (30294284)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード破骨細胞 / 骨吸収 / NFATc1 / ITAM
研究概要

本申請では破骨細胞における新規DAR分子Siglec-15/RADIOの骨代謝における意義、またその作用機序をin vivoおよびin vitroで明らかにすることを目標とする。in vitro 分化誘導系を用いた解析から、Siglec-15遺伝子を発現抑制すると多核細胞形成が顕著に低下することが明らかとなった。これまでの知見とあわせてSiglec-15はDAP12とともに働き、破骨細胞の多核化ならびにアクチンリング形成を制御することにより成熟破骨細胞の形成に必須な働きを担うと結論付け、本成果を学術論文として報告し受理された(研究発表論文参照)。骨代謝におけるSiglec-15の機能を検討するため、Siglec-15遺伝子欠損マウスを作成した。交配実験の結果Siglec-15遺伝子欠損マウスはメンデルの法則に従い出現することが確認された。本マウス由来破骨細胞ではSiglec-15タンパク質の発現は認められなかった。Siglec-15遺伝子欠損マウス由来破骨細胞では、Siglec-15遺伝子発現抑制細胞と同様に多核細胞形成の顕著な低下が認められた。本マウスはマウス3系統が混合した遺伝子背景にあるため、戻し交配によりC57BL/6純系の遺伝子改変マウス作成を試みている。Siglec-15の機能には他タンパク質と複合体を形成して働くことが予想される。His6タグおよびFLAGタグをタンデムにC末端に付加したSiglec-15を破骨細胞に強制発現させ、その細胞抽出液からNi-NTAレジンならびに抗FLAG抗体ビーズを用いたアフィニティー生成によりSiglec-15複合体を精製する条件設定に成功した。現在会合タンパク質の同定を試みている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はSiglec-15遺伝子欠損マウスの作出に成功したが、本マウスの骨代謝ならびに骨組織の解析は未だなしえていない。これはノックアウトマウス作成時に129系由来ES細胞を用いたため、得られる遺伝子改変マウスの遺伝的背景が通常解析に用いられるC57BL/6とは異なるため戻し交配を行う必要があるためであり、想定内である。

今後の研究の推進方策

1.戻し交配によりC57BL/6純系Siglec-15遺伝子欠損マウスの樹立を行い、骨形態計測や骨代謝マーカーの測定を行うことで、Siglec-15遺伝子の生理的条件下における意義を検討する。可能であればDAP12遺伝子およびFcRganma遺伝子欠損マウスとの交配し、Siglec-15遺伝子欠損マウスと二重変異マウスの骨形態を比較する。Siglec-15遺伝子欠損マウスが骨量増加を示した際には、Siglec-15/DAP12キメラ変異体を破骨細胞特異的に発現するトランスジェニックマウスを作成する。2.Siglec-15会合タンパク質を探索する。見出された会合タンパク質の機能をRNA干渉法により検討する。3.Siglec-15/DAP12キメラ変異体トランスジェニックマウスをDAP12遺伝子欠損マウスやSiglec-15遺伝子欠損マウスと交配し、これらマウスの骨代謝や骨組織を検討することにより、Siglec-15が破骨細胞における重要なDARとして機能するのかについて検討する。4.Siglec-15ならびにSiglec-15会合タンパク質に対するモノクローナル抗体を作成し、本抗体をマウスに投与した際の骨形態の変化を検討することで、Siglec-15/DAP12経路を標的とした抗体医薬の可能性を検討する。

次年度の研究費の使用計画

平成23年度に未使用額が生じた要因は、研究の進捗状況に合わせ予算執行計画を変更したことに伴うものである。特にSiglec-15遺伝子欠損マウスの骨形態計測ならびに骨代謝の評価するためには当マウスの遺伝的背景をC57BL/6に純化する必要があり、本解析を次年度に繰り越したことが理由である。次年度の請求額と合わせての執行計画は以下のとおりである。Siglec-15遺伝子欠損マウスの骨組織および骨代謝の解析のために骨形態計測委託費や骨代謝マーカー測定キットなどの消耗品の購入、本マウス系統維持のための拝凍結サービスに使用する。細胞培養や生化学・分子生物学的手法における消耗品や試薬・酵素類を購入する。また研究成果発表のための雑誌投稿料ならびに学会参加費とその旅費に予算を執行する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Siglec-15 protein regulates the formation of functional osteoclasts in concert with DNAX-activating protein of 12 KDa (DAP12).2012

    • 著者名/発表者名
      Ishida-Kitagawa N, Tanaka K, Bao X, Kimura T, Miura T, Kitaoka Y, Hayashi K, Sato M, Maruoka M, Ogawa T, Miyoshi J, Takeya T.
    • 雑誌名

      The Journal of Biological Chemistry

      巻: in press ページ: in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Abi1-bridged tyrosine phosphorylation of VASP by Abelson kinase impairs association of VASP to focal adhesions and regulates leukemic cell adhesion.2012

    • 著者名/発表者名
      Maruoka M, Sato M, Yuan Y, Ichiba M, Fujii R, Ogawa T, Ishida-Kitagawa N, Takeya T, Watanabe N.
    • 雑誌名

      Biochemical Journal

      巻: 441 ページ: 889-99

    • DOI

      10.1042/BJ20110951

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Purification and identification of lactoperoxidase (LPO) in milk basic proteins (MBP) as an inhibitor of osteoclastogenesis.2011

    • 著者名/発表者名
      Morita Y, Ono A, Serizawa A, Yogo K, IshidaKitagawa N, Takeya T, Ogawa T.
    • 雑誌名

      Journal of Dairy Science

      巻: 94 ページ: 2270-9

    • DOI

      10.3168/jds.2010-4039

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The L-Ser analog #290 promotes bone recovery in OP and RA mice.2011

    • 著者名/発表者名
      Bahtiar A, Nakamura T, Kishida K, Katsura J, Nitta M, Ishida-Kitagawa N, Ogawa T, Takeya T.
    • 雑誌名

      Pharmacological Research

      巻: 64 ページ: 203-9

    • DOI

      10.1016/j.phrs.2011.05.004

    • 査読あり
  • [学会発表] Identification of a novel partner of DAP12 in the regulation of actin-ring formation in osteoclasts2011

    • 著者名/発表者名
      Norihiro Ishida-Kitagawa
    • 学会等名
      2nd Asia-Pacific Osteoporosis and Bone Meeting
    • 発表場所
      ゴールドコースト、オーストラリア
    • 年月日
      2011年9月6日
  • [学会発表] 破骨細胞における新規DAP12会合膜タンパク質の機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      北川(石田)教弘
    • 学会等名
      第29回日本骨代謝学会学術集会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2011年7月29日
  • [学会発表] Identification of a novel partner of DAP12 in the regulation of actin-ring formation in osteoclasts2011

    • 著者名/発表者名
      Norihiro Ishida-Kitagawa
    • 学会等名
      ICPAPS2011(招待講演)
    • 発表場所
      ジョグジャカルタ、インドネシア
    • 年月日
      2011年7月19日
  • [学会発表] 破骨細胞における新規DAP12会合膜タンパク質の機能解析2011

    • 著者名/発表者名
      北川(石田)教弘
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011年12月15日

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公開日: 2013-07-10  

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