Siglec-15は成熟破骨細胞の形成に必須なレクチンであり、その機能にはシアル酸化糖鎖の認識を司るV-setドメイン、 DAP12との結合に必須な膜貫通領域内リジン残基(K272)、および微小管関連タンパク質SBP50(仮称)と会合する細胞質内領域、が必須である。以上の結果はSiglec-15が破骨細胞における重要なDAP会合受容体であることを示唆するものであるが、証明するまでには至らない。そこで昨年度はK272A点変異を導入したSiglec-15の細胞外領域から細胞質内機能領域とDAP12のITAM以下の細胞質内領域を融合させたSSDKA317を作成した。 本年度は1)SSDKA317をSiglec-15遺伝子欠損破骨細胞に導入した結果、本キメラタンパク質が野生型Siglec-15とほぼ同程度の活性を有すること、2)V-setドメインおよびITAM中のチロシン残基が SSSDKA317の活性に必須であること、3)SSDKA317がSBP50との会合能を有していること、4)SSDKA317はDAP12と複合体を形成し得ないこと、を見出した。以上の結果からin vitro分化誘導系において、Siglec-15はDAP12のITAMを介してシグナルを伝達することが証明された。以上の知見を踏まえて、破骨細胞特異的に SSDKA317を発現する発現単位を設計した。今後、本発現単位を導入した遺伝子改変マウスを作成し、Siglec-15遺伝子欠損マウスと交配することによりSiglec-15が破骨細胞におけるDAP12会合受容体であることをin vivoで証明しうると考えられる。
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