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2012 年度 実施状況報告書

ヒストン脱アセチル化酵素1(HDAC1)siRNAの遺伝子導入による関節炎治療

研究課題

研究課題/領域番号 23592215
研究機関岡山大学

研究代表者

西田 圭一郎  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80284058)

研究分担者 大橋 俊孝  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50194262)
川畑 智子  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90600669)
キーワード関節リウマチ / ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤 / 遺伝子導入 / エレクトロポレーション / 抗コラーゲン抗体誘導関節炎 / HDAC1
研究概要

【方法】HDAC 1 siRNA (siHDAC1)を5種類作成し、lipofecton法(Lipofectamine 2000 Reagent, Invitrogen)によりNIH-3T3細胞に導入し、ノックダウン効率を確認した。最もノックダウン効率の高かったsiHDAC1に蛍光標識を搭載し、正常マウス膝関節内に投与後、electroporation法 (CUY21 electric pulse generator, 30V /cm2)を用いて細胞導入し蛍光顕微鏡で観察した。次にDBA/1マウス(5匹)に抗II型コラーゲン抗体カクテル(150mg)と LPS(100μl)を投与し、関節炎を誘導した。コントロール、non-specific siRNA投与、siHDAC1投与に分け、経時的に体重、関節炎スコアの評価を行うとともに、関節炎誘導後5日目、10日目にsiRNA(10μg)を膝関節内に投与、14日目に組織サンプルを採取した。膝関節の組織学的評価を行うとともに、滑膜組織から、mRNAを採取し、RT-PCRによりHDAC1 mRNAの遺伝子発現を検討した。
【結果】投与したsiHDAC1は蛍光顕微鏡により滑膜、半月板、軟骨への集積を認め、関節内への確実な投与が確認できた。総関節炎スコアはLPS投与後から増加し、各群とも8日目頃にピークを迎えた。肉眼的総関節炎スコアにコントロール、非治療群、siRNA投与による治療群の間で明らかな差は認めなかった。摘出した左膝関節の滑膜組織から採取したmRNAの解析ではコントロール、非治療群と比較して、治療群ではHdac1の遺伝子発現が減少した。組織学的評価ではsiHDAC1投与マウスにおいて滑膜増殖が抑制され、軟骨変性、骨びらんも軽度であった。また滑膜組織中のHDAC1はsiHDAC投与マウスでは発現が低下していることを免疫染色で確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HDAC阻害剤は、抗腫瘍薬として使用されてきたが、近年、抗炎症薬としての効果が着目されている。我々はHDAC阻害剤が関節炎モデルマウスの関節破壊抑制効果を示すこと、HDACアイソフォームの中で、HDAC1がヒトRA滑膜組織中に最も高度に発現することを報告してきた。本研究では、HDAC1に標的を絞り、さらにsiRNAの膝関節投与という、局所治療を試みた。体重や関節炎の臨床評価には差は認めず、全身の関節炎に関する治療効果は認めなかったが、膝関節内のHdac1の発現は抑制され、滑膜の増殖も抑制されていた。本研究ではHDAC1を標的としたin vivo遺伝子導入により局所関節において滑膜炎の制御が可能であることを示した。

今後の研究の推進方策

2年間でほぼ当初の研究計画の妥当性が証明された。今後は実験動物の数を増やして同様の研究を行い、研究結果を確認する。本年度の研究で、抗コラーゲン抗体誘導関節炎マウスの膝関節から得た滑膜細胞の継代に成功しており、in vitroでのsiHDAC1遺伝子導入による炎症性サイトカイン発現抑制効果をRT-PCR, ELISAで確認する予定である。

次年度の研究費の使用計画

追加実験に使用する消耗品費、学会発表の際の交通費、論文作成における英文校閲費、出版費に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 関節炎モデルマウスに対するヒストン脱アセチル化酵素1(HDAC1) siRNAの治療効果の検討2012

    • 著者名/発表者名
      金澤 智子、西田 圭一郎、松本 衣未、大橋 俊孝、二宮 善文、古松 毅之、尾﨑 敏文
    • 学会等名
      第27回日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      名古屋市
    • 年月日
      20121026-20121027

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公開日: 2014-07-24  

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