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2011 年度 実施状況報告書

骨・軟骨に異常をきたす疾患モデルマウスライブラリーの構築

研究課題

研究課題/領域番号 23592220
研究機関宮崎大学

研究代表者

関本 朝久  宮崎大学, 医学部, 助教 (60305000)

研究分担者 帖佐 悦男  宮崎大学, 医学部, 教授 (00236837)
荒木 正健  熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 准教授 (80271609)
荒木 喜美  熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 准教授 (90211705)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード遺伝子トラップ法 / 骨・軟骨代謝 / モデルマウス / スクリーニング / ライブラリー
研究概要

本邦における変形性関節症、骨粗鬆症などのロコモティブシンドロームの近年の未曽有の増加にもかかわらず、いまだそれらの原因タンパクならびにゲノム遺伝子の異常、遺伝性などは十分に解明されていない。現在我々は、骨軟骨代謝に異常をきたす疾患モデルマウスライブラリーを世界に先駆けて構築する目的で、変異マウス系統を用いた、骨軟骨における表現型のスクリーニングを実施している。 我々は、部位特異的組換えシステムであるCre-loxシステムを応用し、一般的なノックアウト技術よりも優れている『可変型遺伝子トラップ法』を世界に先駆けて開発し、そのデータベース『EGTC』(Database for the Exchangeable Gene Trap Clones, http://egtc.jp)を構築して全世界に公開している。現在この『EGTC』に登録してマウスラインを樹立したクローンにおいて、骨軟骨にトラップした遺伝子の発現のみられるクローンを選別し、ホモ・ヘテロ接合体マウスを作製し表現型をスクリーニングしている。スクリーニングの内容は3D-CT、骨形態計測、骨力学試験、病理組織学的検査、血液生化学検査を行っている。現在までに915クローンを単離し、336ラインのトラップ系統を樹立している。これまで樹立したトラップマウスラインは、胚及び精子凍結保存している。既に『EGTC』で、骨・軟骨にトラップした遺伝子の発現のみられる15ラインのスクリーニングを施行し、8ラインに骨の異常を認めている。現在これらのトラップされた新規遺伝子の単離同定、表現型解析を行っている。骨軟骨に異常をきたす個々の遺伝子トラップマウスラインの解析により、トラップした遺伝子の骨軟骨代謝における役割が明らかとなり、骨粗鬆症などのロコモティブシンドロームの病態解明や治療法の確立に大きく貢献できると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在我々は可変型遺伝子トラップ法によって樹立されたトラップマウスを用いて骨軟骨代謝に関与する遺伝子の効率的なスクリーニングに取り組んでいる。現在までに915クローンを単離し、336ラインのトラップ系統を樹立している。これまで樹立したトラップマウスラインは、胚及び精子凍結保存している。これまでに骨・軟骨にトラップした遺伝子の発現のみられる15の候補遺伝子についてトラップクローンマウスを作製し、1次スクリーニングを施行したところ、8のトラップマウスに骨軟骨表現型の異常を認めている。現在これらのトラップされた新規遺伝子の単離同定、表現型解析を行っている。このように可変型遺伝子トラップ法により樹立されたトラップクローンマウスを用いた骨軟骨代謝に関与する新規遺伝子のスクリーニングは非常に効率が高い。この手法によって作製された骨軟骨代謝異常モデルマウスは、骨粗鬆症などの骨軟骨疾患の病態解明や治療法の確立について有力な手段となりうると考える。このように、可変型遺伝子トラップ法は、単なる遺伝子機能の解析だけでなく、ヒト骨軟骨疾患モデルマウスやゲノム創薬のためのモデルマウスを作製する非常に有用で独創的な方法であり、骨軟骨代謝疾患における病因病態解明や新規治療法開発などへの多大な貢献が期待される。

今後の研究の推進方策

今後も、『EGTC』(http://egtc.jp)に登録しマウスラインを樹立した遺伝子トラップクローンについて、骨軟骨にトラップした遺伝子の発現がみられるクローンを選別し、ホモ・ヘテロ接合体マウスを作製する。そして骨・軟骨代謝の異常を検出する為のスクリーニングを行う。骨軟骨代謝に何らかの異常が確認できたラインにおいては、ゲノム情報を利用してこれらの遺伝子の発現・機能プロフィールを解析し、変形性関節症、骨粗鬆症などのロコモティブシンドロームの原因となりうる候補遺伝子を絞り込む。さらに、生体での候補遺伝子および関連遺伝子の機能解析などの手法を駆使して、それら遺伝子変異と骨軟骨疾患や周辺疾患との関係を検討する。このようにして同定された骨・軟骨疾患感受性遺伝子変異を含む骨・軟骨疾患モデルマウスライブラリーを充実させていく予定である。 本研究により、骨・軟骨代謝に異常をきたす疾患モデルマウスのライブラリーを構築し充実していくことが可能となり、変形性関節症、骨粗鬆症などの骨・軟骨疾患に関与する新規感受性遺伝子群が同定され、それらの遺伝子群とヒト骨・軟骨疾患との関連が明らかとなると考えられる。本研究の成果は、今後の変形性関節症、骨粗鬆症などのロコモティブシンドロームの病態解明に寄与し、病因の本質的理解と分子を標的とした新たな治療法の開発にも貢献すると考えられる。我々は、既にデータベース『EGTC』を全世界に公開している。本研究で得られた成果についても、新たに骨軟骨疾患モデルマウスライブラリーを構築し、学会、論文などで発表するとともに、将来はデータベースとして全世界に公表する予定である。

次年度の研究費の使用計画

本研究では、さらにこの骨軟骨疾患モデルマウスライブラリーを充実させ、その中の骨軟骨代謝に異常を呈するラインを詳細に解析することを目的とする。 ホモ・ヘテロ接合体マウスに対する骨・軟骨異常のスクリーニング:平成24年度以降も平成23年度のホモ・ヘテロ接合体マウスに対する骨・軟骨代謝異常のスクリーニングを実施していく。 骨・軟骨代謝に異常をきたす疾患モデルマウスライブラリーの充実:変形性関節症、骨粗鬆症やその周辺疾患の原因となりうる骨軟骨疾患候補遺伝子を単離するとともに、それら候補遺伝子上のゲノム異常を明らかにする。このようにして同定された骨軟骨疾患感受性遺伝子変異を含む、骨軟骨疾患モデルマウスライブラリーを充実させていく。 可変型遺伝子トラップマウスを用いた骨・軟骨代謝異常の表現型解析:それまでの研究段階により、ホモ・ヘテロ接合体マウスにおいて明らかとなった骨軟骨代謝異常について表現型解析を進める。RT-PCR、in situ hybridizationや免疫染色等により、生体でのトラップした遺伝子やBMPs、Runx2、Collagen、RANKL、NFATc1、TRAPなど関連遺伝子の骨軟骨組織中の発現パターンを網羅的に解析するなどの手法を駆使して、それら遺伝子変異と骨軟骨疾患や周辺疾患との関係を検討する。また、各々のトラップマウスの頭蓋骨から初代培養骨芽細胞を、骨髄から破骨細胞をRANKL、M-CSFを用いて誘導して培養を行い、各細胞の機能を評価する。さらに骨折モデル(大腿骨骨折モデル、Funamoto T, Bone 2011)を作製し、骨折治癒過程における骨軟骨組織の免染など各種染色、in situ hybridization、リアルタイムPCR、骨形態計測などを施行し、詳細にトラップした遺伝子の機能を解析する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 可変型遺伝子トラップ法を用いた骨軟骨疾患に関与する新規遺伝子の探索2011

    • 著者名/発表者名
      黒木修司、関本朝久
    • 学会等名
      第29回 日本骨代謝学会学術集会
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2011年7月30日
  • [学会発表] 可変型遺伝子トラップ法を用いた骨軟骨疾患に関与する新規遺伝子の探索2011

    • 著者名/発表者名
      関本朝久
    • 学会等名
      第84回 日本整形外科学会学術総会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2011年5月12日
  • [学会発表] 可変型遺伝子トラップ法を用いた骨軟骨疾患に関与する新規遺伝子の探索2011

    • 著者名/発表者名
      黒木修司、関本朝久
    • 学会等名
      第26回 日本整形外科学会基礎学術集会
    • 発表場所
      前橋市
    • 年月日
      2011年10月21日

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公開日: 2013-07-10  

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