研究課題/領域番号 |
23592221
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (60353463)
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研究分担者 |
小宮 節郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30178371)
石堂 康弘 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (10300740)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 軟骨細胞分化 / SnoN / BMP / TGF-beta |
研究概要 |
軟骨分化成熟のモデルとして前駆軟骨細胞株ATDC-5、及びマウス肋軟骨初代培養細胞を使用し、TGF-βを加えて早期分化促進と後期分化抑制をした場合と、BMP-2を加えて分化早期および後期肥大化を共に促進した場合におけるSnoNの発現変化を検討した。その結果SnoNが軟骨細胞分化成熟に伴って増加し、逆に肥大成熟マーカーCol10a1は減少した。初代軟骨細胞においても同様の結果を得た。関節軟骨におけるSnoN蛋白発現を、マウス(C57BL/6)の胎生17.5日の膝関節組織切片を用いて免疫組織化学的に検討した。その結果、SnoN蛋白が前肥大軟骨層に特に強く発現している事が分かり、逆に肥大軟骨細胞には発現がなかった。siRNAはDharmacon/Thermo社のON-TARGET plusを用いて、SnoNノックダウン実験を行った結果、内因性SnoNがBMP型Smadの活性化(リン酸化)レベルには影響せずに、その下流の標的遺伝子Id1の発現を抑制する事、その結果として軟骨細胞分化成熟マーカーCol10a1の発現を抑える事が分かった。SnoNが軟骨肥大化を抑制しOA化抑制に働くと仮定した場合に予想される"SnoN活性亢進という治療戦略"の可能性を探る過剰発現実験を、まず発現プラスミドのトランスフェクション後に安定発現株を作成して検討した。その結果、SnoNが軟骨細胞において、Id1の発現、すなわちBMPシグナルとCol10a1の発現、すなわち軟骨分化成熟を抑制する事が証明された。SnoNの過剰発現ベクターのアデノウイルスとレンチウイルスの作成を開始し、完成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軟骨分化成熟のモデルとして前駆軟骨細胞株ATDC-5、及びマウス肋軟骨初代培養細胞を使用し、TGF-βを加えて早期分化促進と後期分化抑制をした場合と、BMP-2を加えて分化早期および後期肥大化を共に促進した場合におけるSnoNの発現変化を検討した。その結果SnoNが軟骨細胞分化成熟に伴って増加し、逆に肥大成熟マーカーCol10a1は減少した。初代軟骨細胞においても同様の結果を得た。関節軟骨におけるSnoN蛋白発現を、マウス(C57BL/6)の胎生17.5日の膝関節組織切片を用いて免疫組織化学的に検討した。その結果、SnoN蛋白が前肥大軟骨層に特に強く発現している事が分かり、逆に肥大軟骨細胞には発現がなかった。siRNAはDharmacon/Thermo社のON-TARGET plusを用いて、SnoNノックダウン実験を行った結果、内因性SnoNがBMP型Smadの活性化(リン酸化)レベルには影響せずに、その下流の標的遺伝子Id1の発現を抑制する事、その結果として軟骨細胞分化成熟マーカーCol10a1の発現を抑える事が分かった。SnoNが軟骨肥大化を抑制しOA化抑制に働くと仮定した場合に予想される"SnoN活性亢進という治療戦略"の可能性を探る過剰発現実験を、まず発現プラスミドのトランスフェクション後に安定発現株を作成して検討した。その結果、SnoNが軟骨細胞において、Id1の発現、すなわちBMPシグナルとCol10a1の発現、すなわち軟骨分化成熟を抑制する事が証明された。SnoNの過剰発現ベクターのアデノウイルスとレンチウイルスの作成を開始し、完成している。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト変形性関節症(OA)におけるSnoN蛋白の局在を免疫組織化学染色で検討する。この際、OAの重症度との関連を検討する為に、OAサンプルの重症度をまずMankin scoreで評価する。また、仮説として、関節軟骨における異常な軟骨成熟・肥大化がOAの発症要因、あるいは増悪因子と言われている中で、SnoNがこの軟骨成熟・肥大化を抑制する事でOAに抑制的にはたらくと予想しているので、肥大軟骨マーカーtype X collagenの免疫組織化学染色も同時に行い、対比する。予想としては、お互いに排他的に発現する事を期待している。SnoN発現ウイルスは、アデノウイルスとレンチウイルスを準備完了であるが、まずはアデノウイルスの発現と軟骨細胞分化への影響をATDC5細胞と初代軟骨細胞を用いて観察する。レンチウイルスの利点は感染細胞のゲノムに組み込まれて安定発現性を発揮する事なので、数週以上の長期分化を誘導する実験に使用予定である。SnoNがBMPシグナルを抑制するメカニズムについては、BMPシグナルレポーター・ルシフェラーゼ・アッセイを行う。Common SmadであるSmad4との結合によってBMPシグナルを抑制する事を予想しているので、ADTC5細胞において、両蛋白の共局在を免疫染色で検討する。またこれらウイルスはマウス胎仔骨の器官培養に感染させ、in vivoをmimicしたSnoNの機能解析を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子組換え操作関連試薬、細胞培養関連消耗品、抗体、免疫組織染色関連試薬、ウエスタン・ブロット関連試薬、ウイルス作成、トランスフェクション試薬、siRNA、ルシフェラーゼ・アッセイ関連試薬、マウス購入・飼育費等の物品費に945,000円、国内外学会における成果発表に関する旅費として350,000円、その他雑費として5,000円、計1,300,000円を使用予定である。
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