研究課題/領域番号 |
23592221
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
前田 真吾 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (60353463)
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研究分担者 |
小宮 節郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30178371)
石堂 康弘 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (10300740)
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キーワード | TGF-beta, Sweden / chondrocyte / BMP / SnoN |
研究概要 |
ATDC5培養系において、前年度完成させていたSnoNのアデノウイルスとレンチウイルスを駆使して過剰発現させてその効果を観た。ノックダウンとは反対に、SnoNはBMPシグナルと軟骨細胞成熟分化(type X collagen)の両者を抑制した。 一方、ヒト変形性関節症(OA)におけるSnoN蛋白の局在を免疫組織化学染色で検討し、OAの重症度との関連を検討する為にMankin scoreと対比解析した。また関節軟骨における異常な軟骨成熟・肥大化がOAの発症要因あるいは増悪因子と言われている中で、SnoNがこの軟骨成熟・肥大化を抑制する事でOAに抑制的にはたらくと予想し、肥大軟骨マーカーtype X collagenの免疫組織化学染色も同時に行った。結果、type X collagenは中等度のOA軟骨の変性部に出現する変性肥大軟骨細胞の周囲に染まり、一方でSnoNはその近傍に、お互いに排他的に分布し、SnoNがtype X collagenの発現を抑えるという仮説に矛盾しなかった。 SnoNがBMPシグナルを抑制するメカニズムについては、BMPシグナルレポーター・ルシフェラーゼ・アッセイを行い、これを抑制する事を確認し、common SmadであるSmad4とSnoNの共局在を免疫染色で証明した。 さらにSnoNウイルスをマウス胎仔骨の器官培養系に感染させ、in vivoをmimicしたSnoNの機能解析を行った結果、期待通りに軟骨肥大化成熟を抑制した。 これらの結果を踏まえて、論文に発表した(Kawamura I et al., J Biol Chem, 287, 29101-29113, 2012)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに研究が進み、in vitroとex vivoの両者におけるSnoNのBMPシグナルと軟骨細胞肥大分化の抑制とそのメカニズムの一端を明らかにし、論文と学会に発表出来た。
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今後の研究の推進方策 |
確かに軟骨細胞におけるSnoNのloss of function実験により、BMPシグナルと軟骨細胞肥大成熟分化は促進し、その抑制的役割が明らかにはなったが、問題は、その効果がpartialであった事で、すなわちTGF-betaで誘導される遺伝子の中でSnoNの他に責任分子が存在する事をうかがわせる。その因子はSnoNと協調的に、相補的に働く可能性があるので、SnoNをOAの治療対象とするならば、この未知の因子についても同定し、機能解析しておく必要が生じた。今後は、軟骨細胞分化の抑制がかかっているモデルとして軟骨肉腫細胞株等を駆使して、何がその分化を抑制しているのかをATDC5細胞の時と同様にcandidate approachで検索・同定し、ATDC5細胞系にfeedbackして比較したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
遺伝子組換え操作関連試薬、細胞培養関連消耗品、抗体、免疫組織染色関連試薬、ウエスタン・ブロット関連試薬、ウイルス作成、トランスフェクション試薬、siRNA、ルシフェラーゼ・アッセイ関連試薬、マウス購入・飼育費等の物品費に940,000円、国内外学会における成果発表に関する旅費として350,000円、その他雑費として10,000円、計1,300,000円を使用予定である。
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