研究課題/領域番号 |
23592225
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
永谷 祐子 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90291583)
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研究分担者 |
大塚 隆信 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10185316)
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70212462)
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キーワード | 関節リウマチ / 滑膜細胞 / グリオスタチン / Sp1 |
研究概要 |
我々は,関節リウマチ(RA)の発症に、グリオスタチン(GLS)(血小板由来血管内皮増殖因子と同一でthymidine phosphorylase活性をもつ)が密接に関与していることを初めて見いだした。thymidine phosphorylaseはin vivo, in vitroにおいて血管新生作用を有している。我々の研究グループでは,これまでの基礎研究成果に基づき、1. RAにおける関節破壊へのGLSの関与を解明すること。2. GLS遺伝子の発現から関節炎惹起活性の発現に至る諸相を阻害することにより、RA病勢を緩和する方法を確立することを最終目標としている。本研究ではRA滑膜炎増悪の一翼を担っているGLS発現制御分子機構の解明を目標とした。 本年度は、GLSの発現機構を検討するためにGLSのプロモーターを組み込んだluciferase assay vectorを作製した。GLSのプロモーター領域にはSp1結合部位が7か所とISRESとGASが存在する。滑膜細胞でのGLS発現の転写調節活性部位を特定するために、数種類のdeletion vectorを作製した。これを用いて最上流のSp1 binding siteが重要であることをつきとめた。さらにグリオスタチンの発現にSp1結合部位にSp1の結合が必須なものであること確認するためにクロマチン免疫沈降 (ChIP assay)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24年度の目標として、1. グリオスタチン (GLS) のプロモーター解析 2. luciferase assay 3. GLSのプロモーターのdeletion vector の作製の3点を目標とした。滑膜培養細胞の初代培養から継代は順調であり、実験を進める上で特に問題は生じなかった。 1.では、GLSプロモーター領域にはSp1結合部位が7か所とISRESとGASが存在した。ISRESとGAS はinterferon gamma結合部位である。そこでinterferon gammaによる刺激実験をおこなったが、GLS発現には特に影響及ぼさなかった。 2.ではGLSの発現調節機構の検索のためluciferase assayが必要と考えられ、vector を構築した。このassay系を用いてSp1阻害剤であるmithramycin処理するとluciferase活性が有意に抑制されることを見いだし、GLS発現にはSp1が重要であると、確信をもって次の実験系に進むことができた。 3. GLSのプロモーターのdeletion vector の作製も順調にすすみ、最上流のSp1 結合部位がGLS発現に非常に重要であることがわかり、これをChIP assayにて証明できた。活性化Sp1は核内移行することから、GLS発現の際のSp1核内移行をSp1 western blotにて確認する予定であったが、これは24年度中には実現することができなかったため、25年度の目標とする。
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今後の研究の推進方策 |
1) 滑膜細胞では、TNFαによってGLSが誘導されるが、その機序は明らかにされていない。TNFαによって細胞質内あるいは核内のSp1の発現に変化がおこるかWestern blotにて明らかにする。 2) 滑膜細胞でのGLS 産生はTNF-αによって誘導されることから、nuclear factor-κB (NF-κB)やmitogen-activated protein kinase (MAPK)シグナルの関与も示唆される。NF-κB阻害剤(SN50、MG132)、MAPKシグナルのextracellular signal-regulated kinase1 and 2阻害剤(PD98059)、c-jun N-terminal kinase阻害剤(SP600125)、p38 MAPK阻害剤(SB203580、SB202190)、蛋白合成阻害剤であるcycloheximideを使用してpretreatment後にTNF-α刺激を行い、GLS産生が抑制されるかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究実施に際して必要な設備(細胞培養設備、Real time PCR cycler, 顕微鏡など)は、当研究室と当研究科共同研究施設に整っている。したがって設備備品費は該当なしである。消耗品費として培養細胞の培養試薬として、70万円、western blot 試薬として30万円、各種シグナル伝達阻害剤として約30万円などの消耗品費と、成果発表のための旅費10万円、また論文発表のための英文校正費10万円を算定している。
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