研究課題
レプチンは脂肪組織により産生されるサイトカインであり、脂肪組織が増えると血中濃度は上昇し、視床下部に作用して食欲を抑制する。我々はこれまでにレプチン欠損マウスやレプチン受容体欠損マウス(いずれも肥満マウス)にコラーゲンで誘導される関節炎が生じにくいことを報告し、さらに高脂肪食にて飼育した自然肥満マウスにおいてもコラーゲン誘導関節炎は抑制されることを明らかにしてきた。しかし、レプチンは脳血管関門で制御されており、わずかの量のレプチンを脳室に直接投与することにより、自然肥満マウスの関節炎抑制効果は消滅した。そこで、レプチンの関節炎に与える影響に関して、より詳細に調べるために、レプチントランスジェニックマウスを作成し、コラーゲン誘導関節の発症過程を調査した。レプチントランスジェニックマウスの血中レプチン濃度は高度肥満者(脂肪が多いのでレプチンは高いが、レプチン抵抗性が生じているので食欲は抑制されない)とほぼ同じ値であった、このマウスに抗コラーゲン抗体カクテルを投与して関節炎を誘導したところ、コントロールに比べて関節炎スコアーは低かった。また、血中のサイトカインレベルを調べたところ、インターロイキン6(IL-6)レベルがレプチントランスジェニックでは抑制されていることが判明したので、in vitroでマクロファージ前駆細胞のリポポリサッカライド添加によるIL-6誘導を調べた。その結果、in vitroにおいてもレプチン添加によりマクロファージのIL-6産生は抑制されていた。これらの事実より、レプチンは抗炎症作用を有するサイトカインであることが明らかとなった。
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