研究課題/領域番号 |
23592227
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
鈴木 亨暢 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00445016)
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研究分担者 |
高岡 邦夫 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 名誉教授 (30112048)
橋本 祐介 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10382178)
上村 卓也 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 後期研究医 (10597321)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 骨形成蛋白(BMP) / カテコラミン / 骨形成 |
研究概要 |
我々はこれまでに培養骨芽細胞において、カテコラミンが骨形成蛋白(BMP)のもつ骨芽細胞分化促進作用をさらに増強させることを解明してきた。そこでこのカテコラミンによるBMPの増強作用の詳細なシグナル経路について解明した。 培養骨芽細胞系細胞および骨髄由来間葉系幹細胞に、カテコラミン(エピネフリン、ドパミン、ノルエピネフリン)をリコンビナントヒトBMP2(rhBMP2)と共投与した。real-time RT-PCR法、ALP assayを用いて、カテコラミン投与後の骨芽細胞分化マーカーを測定評価した。アドレナリン受容体の関与、cAMP/PKA系の関与、PKC系の関与、MAPK系の関与を検討するために、各種inhibitorを前投薬した上で、カテコラミンとrhBMP2を共投与し、同様の手法でもって骨芽細胞分化マーカーを指標にブロック効果の程度を評価した。 結果、primary osteoblast cultureおよびST2細胞において、エピネフリン、ドパミンをrhBMP2と共投与したところ、投与後の骨芽細胞分化マーカーはいずれも上昇した。しかしノルエピネフリンを投与した後の骨芽細胞分化マーカーはいずれも上昇を認めなかった。アドレナリンβ2受容体選択的阻害剤およびPKA inhibitorを前投薬した上で、カテコラミンとrhBMP2を共投与したところ、骨芽細胞分化マーカーの上昇は抑制される結果となった。しかし、アドレナリンα受容体選択的阻害剤やPKC inhibitor・MAPK inhibitorを前投薬した上で、カテコラミンとrhBMP2を共投与しても、骨芽細胞分化マーカーの上昇は抑制されなかった。 つまり、カテコラミンによるBMPの骨芽細胞分化促進作用の増強効果は、アドレナリンβ2受容体及びPKA系経路を介して作用していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究目的について、当初予定していた研究は問題なく遂行され、それに伴う研究結果もおおむね達成されている。
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今後の研究の推進方策 |
カテコラミンによるBMPの効果促進のメカニズムについて、転写因子レベルでの解明を行うために、Id1 geneのpromoter plasmidを用い、これに変異を加えて細胞に導入し実験を行う。BRE配列(BMP系)とCRE配列(cAMP系)を単独もしくは双方に変異導入した4種のId1 promoterを作製する。MC3T3-E1、ST細胞にplasmidをトランスフェクションし、カテコラミンをrhBMP2と共投与し、その影響をルシフェラーゼによるレポーターアッセイにて評価することにより転写調節レベルでカテコラミンとBMPとのinteractionの有無およびcAMP/CRE signalingの関与について検索する。 我々はこれまでに、BMPを非常に効率よく徐放させうる担体ポリマー(polylactic acid-polyethylene block co-polymer)を用いてマウスの筋膜下に新生異所性骨を作成するin vivoモデルを発展させてきた。BMP含有ポリマーを背筋筋膜下に埋植したマウスにカテコラミンを全身投与し、血中のカテコラミン濃度を上昇させた場合で、BMP単独(コントロール群)とカテコラミン皮下注群で新生異所性骨を比較する。皮下注で全身投与するカテコラミンは、エピネフリン、ノルエピネフリン、ドパミンとし、各種濃度で間欠的投与(2回/日または3回/日)を行い、血中カテコラミン濃度の変動を継時的に測定する。カテコラミンの種類・濃度・投与間隔を変えた場合のカテコラミン濃度の変動差についても比較検討を行う。次に新生異所性骨のレントゲン評価と骨量測定を行い、コントロール群と各種カテコラミン皮下注群で比較する。新生異所性骨について組織学的評価も行い、骨形成・骨吸収の程度を判定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
この研究は動物実験によって成り立っているため、動物(マウス)、動物実験・手術操作のための器具・備品、薬剤、実験試薬は必要不可欠である。また細胞培養実験においても、細胞培養関連器具、実験試薬は必要不可欠である。
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