研究課題/領域番号 |
23592232
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
染谷 明正 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90167479)
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研究分担者 |
長岡 功 順天堂大学, 医学部, 教授 (60164399)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | グルコサミン / 機能性食品 / 変形性関節症 / 滑膜細胞 / 糖鎖修飾 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
グルコサミンは、変形性関節症(OA)の症状緩和作用をもつが、どのような機構でグルコサミンが働いているのか不明である。本研究ではグルコサミンによりおこるO-GlcNAc修飾されるタンパク質や、発現が影響される遺伝子を同定し、これら分子のOAにおける役割を調べることを目的としている。そして平成23年度は、以下の結果を得た。1)ヒト正常滑膜細胞、滑膜肉腫細胞株SW982および関節リウマチ患者滑膜細胞株MH7Aを用いて基礎検討を行った。その結果、MH7A細胞をグルコサミン処理すると、再現性良く炎症性サイトカインIL-8の産生が低下し、タンパク質のO-GlcNAc修飾が増加した。そして、O-GlcNAc修飾阻害剤alloxanを併用すると、O-GlcNAc修飾の低下とともに、IL-8産生も回復した。従って以降の実験にMH7Aを用いた。2)MH7A細胞の遺伝子発現に対するグルコサミンとalloxanの影響をDNA-マイクロアレイで調べた。その結果、グルコサミンで2倍以上発現が上昇した遺伝子は53種類、1/2以下に減少した遺伝子が41種類あった。また、炎症性サイトカイン(IL-6、IL-8,、IL-24、TNF-α)や、炎症関連伝子の発現がグルコサミンで影響された。そしてalloxanの作用は遺伝子の種類により様々であった。3)グルコサミンによりO-GlcNAc修飾が増加するタンパク質を免疫沈降/SDS-PAGEで解析した。その結果、グルコサミンにより複数のタンパク質のO-GlcNAc修飾が増加した。現在、これらタンパク質を質量分析にて同定中である。今後、同定されたタンパク質がグルコサミンのOA改善作用にどう関与しているかを解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度は、グルコサミンの遺伝子発現に及ぼす影響と、グルコサミンでO-GlcNAc修飾されるタンパク質の同定を計画した。研究実績 1)の条件検討が予想以上に時間がかかり、以降の実験のスタートが遅れた。しかし、遺伝子発現に対するグルコサミンやalloxanの影響 (DNA-マイクロアレイによる解析)はほぼ終了した。またグルコサミンでO-GlcNAc修飾が促進されるタンパク質の分離は終了し、質量分析による同定を行っている段階である。したがって、おおむね、順調に実験が進行していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
グルコサミンでO-GlcNAc修飾が促進されるタンパク質を同定する。そして実験計画に従い、同定されたタンパク質が、グルコサミンによるOA改善作用にどのように関与しているかを、細胞(平成24年度予定)やOAモデル動物(平成25年度予定)を用いて解析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の研究計画の中で、DNAマイクロアレイ解析と炎症関連分子の測定に必要な経費が当初の計画より少なかった。また現在進行中のO-GlcNAc修飾タンパク同定のための質量分析料金が一部未使用である。そのために発生した平成23年度未使用分の研究費は、質量分析費とともに、平成24年度に消耗品費で購入予定の、タンパクの解析に必要な抗体の購入費および、炎症関連分子測定試薬の購入費に割り当てる予定である。
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