研究概要 |
本研究は関節リウマチ(RA)の関節手術時に得られる滑膜、関節軟骨、軟骨下骨を用いてTLRシグナルの活性化による炎症、骨軟骨破壊のメカニズムを解明し、RAに対してTLRを標的とした分子治療へと展開するための研究基盤を確立するのが目的である。当初、TLRシグナルと骨軟骨破壊に焦点を当てて研究を進める予定であったが、各組織においてTLR-2, -4以外の発現が認めれれず、TLR-2, -4の発現もサンプル間のバラツキが多く一定の傾向が得られなかったため、昨年度から炎症性サイトカインによる関節破壊のメカニズム解析に研究の方向を修正し、培養滑膜細胞(FLS)を用いたin vitroの実験を中心に行い、関節破壊の指標を培養上清中のマトリックス・メタロプロテアーゼ-3 (MMP-3)の濃度として検討した。 FLSからのMMP-3産生はIL-17 (100ng/ml)単独による刺激では変化がなかったが、IFN-γ(1ng/ml)との共刺激によって有意に増加した。一方、TNF-α(10ng/ml)単独刺激ではMMP-3産生は有意に増加したが、IFN-γとの共刺激によってその増加はキャンセルされた。
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