研究課題
国内外における多くの精力的研究から、変形性関節症の発症は加齢に伴う軟骨基質マトリックスの組成変化に加えて、肥満や荷重等のメカニカルストレスと、それに伴い誘導される酸化ストレス(活性酸素種)の蓄積が関与し、軟骨細胞活性や軟骨基質の変性を引き起こすとされ、加齢と酸化ストレスならびに関節軟骨変性の発症・進行は密接な関連を持つことが明らかとされてきた。そこで我々は、OA発症の主要因とされる関節軟骨組織へのメカニカルストレスによって軟骨内に生じる過剰なフリーラジカル産生と、軟骨細胞核酸酸化損傷および軟骨基質変性との関連について一連の研究を進め、軟骨変性の発生機序を軟骨細胞の核酸酸化損傷の観点から解明中である。我々は科研費基盤研究(平成23~25年度)において、核酸損傷修復酵素Ogg1の発現度は、OA軟骨組織変性度と相関して低下しているのに反して、変性軟骨部の細胞にはグアニン酸化体が高発現することを確認した。さらに、軟骨変性・異化の誘導因子に応答したOgg1以外の核酸修復酵素の発現は、OA患者由来の軟骨細胞ではみられず、正常軟骨細胞において上昇することを新たに見出した。これらのことから我々は、軟骨変性部においては核酸酸化損傷の結果としてグアニン酸化体が高発現しており、これに相反して核酸損傷修復酵素Ogg1活性は低下しているため、核酸損傷が蓄積して軟骨細胞活性低下や細胞死が誘導され、軟骨組織の維持・恒常性低下、軟骨変性につながっていくと考え、研究を続けている。
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