研究課題/領域番号 |
23592248
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
田辺 久美子 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (30402209)
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研究分担者 |
小澤 修 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90225417)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 中枢神経保護 / アストロサイト / サイトカイン / ベンゾジアゼピン |
研究概要 |
中枢神経系においてIL-6は神経細胞、アストロサイトにおいて産生され、炎症反応のみならず、神経保護作用において重要な役割を担っている。末梢型ベンゾジアゼピン受容体は免疫系の制御因子として機能していることが知られている。我々はこれまでにグリア細胞において、IL-1βがIκB/NFκB pathway、p38 MAP kinase、SAPK/JNK、p44/p42 MAP kinase、STAT3を活性化することを明らかとしてきた。また、IL-1βによるIL-6遊離にはp38 MAP kinaseの活性化が関与していることが報告されている。今回、C6グリア細胞において、IL-1βによるIL-6遊離に対してベンゾジアゼピンの一つであるミダゾラムの影響およびその作用機序を検討し以下の結果を得た。1. ミダゾラムはIL-1βによるIL-6の遊離を抑制した。2. IL-1βによるIL-6の遊離はSP600125 (SAPK/JNK阻害剤)、JAK 阻害剤によって抑制されたが、PD98059 (MEK 1/2阻害剤)には影響を受けなかった。3. ミダゾラムはIL-1βによるIκB、p38 MAP kinase、SAPK/JNKのリン酸化には影響を及ぼさなかったが、STAT3のリン酸化を抑制した。以上より、グリア細胞においてIL-1βはp38 MAP kinaseに加えて、IκB/NFκB pathway、SAPK/JNK、STAT3の活性化を介してIL-6の遊離を促進し、ミダゾラムはIL-1βによるSTAT3の活性を抑制することにより、IL-6の遊離を抑制することが示唆された。ミダゾラムは、中枢神経保護作用を有すると報告されており、その作用は炎症性サイトカインの抑制を介している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Jornal of Neuroinflammationに掲載済み
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今後の研究の推進方策 |
他の静脈麻酔薬がIL-1βによるIL-6遊離に与える影響と機序を検討し、ミダゾラムと比較検討する予定
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次年度の研究費の使用計画 |
培養細胞実験、蛋白質解析および遺伝子発現解析等の検討に要する消耗費および試薬に充てられる。一部は、学会発表、論文投稿に関わる費用に充てられる。
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