研究課題/領域番号 |
23592248
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
田辺 久美子 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (30402209)
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研究分担者 |
小澤 修 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90225417)
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キーワード | 中枢神経保護 / FGF-2 / GDNF / PI3-kinase/Akt経路 |
研究概要 |
basic fibroblast growth factor (FGF-2)は中枢神経保護作用を示す。その機序の一つに、アストロサイトにおけるFGF-2によるGlial cell line-derived neurotrophic factor (GDNF)の産生促進があると報告されている。これまでに、ラットグリアC6細胞において、FGF-2はp44/p42 MAP kinase、stress-activated protein kinase/c-Jun N-terminal kinase (SAPK/JNK)の活性化を介してGDNFの遊離を促進すると報告されている。今回、FGF-2によるGDNFの遊離機序を更に検討した。 その結果、1.FGF-2はAktおよび、その基質であるglycogen synthase kinase 3β (GSK3β)のリン酸化を促進した。2.FGF-2によるGDNFの遊離はwortmannin、LY294002 (phosphatidylinositol 3 (PI3)-kinase 阻害剤) によって抑制された。3.PI3-kinaseをdownregulationさせた細胞においては、FGF-2によるGDNFの遊離は抑制された。4.PD98059 (p44/p42 MAP kinase活性化kinase阻害剤)、SP600125 (SAPK/JNK阻害剤)はFGF-2によるAktのリン酸化に影響を与えなかった。5.wortmannin、LY294002はFGF-2によるp44/p42 MAP kinase、SAPK/JNKのリン酸化に影響を与えなかった。 結論)C6細胞においてFGF-2はp38 MAP kinase、SAPK/JNKの活性化とは独立して、PI3-kinase/Akt経路の活性化を介してGDNFの遊離を促進することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Brain Researchに掲載済み
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今後の研究の推進方策 |
静脈麻酔薬がFGF-2によるGDNFの遊離に及ぼす影響を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度から継続した研究であったため、今年度の使用額は、予定より少なくなったので、これを次年度使用予定。今回請求する研究費と合わせて、培養細胞実験、蛋白質解析および遺伝子発現解析等の検討に要する消耗費および試薬に充てられる。一部は、学会発表、論文投稿に関わる費用に充てられる。
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