研究課題
生体は手術、外傷、ショックなどの侵襲を受けると様々なストレス反応を示すことが知られている。過大な侵害刺激を受けると、容易に全身性炎症反応症候群 (systemic inflammatory response syndrome; SIRS) が惹起される。そして SIRS から周術期心筋虚血や敗血症,多臓器不全に陥ることが知られている。一方、ストレス蛋白質(heat shock protein;HSP)は生体において生体防御という極めて重要な役割を担っていることは良く知られている。種々の外的環境の変化に対する生体反応をストレス応答と呼んでおり、環境の変化に対し生体は迅速に反応する。ストレス蛋白質は、熱や化学物質などのストレスにより組織・細胞内に誘導される一群のタンパク質の総称である。ストレス蛋白質が誘導された組織・細胞は、再度のストレス負荷に対して耐性を獲得する。循環虚脱を招くことのある過大な侵襲に対して、生体は心血管系、血液凝固系におけるストレス反応を起こすがその詳細は明らかではない。私共は既に、強力な血小板凝集の促進因子であるコラーゲンがp44/p42 mitogen-activated protein (MAP)キナーゼを介し、低分子量ストレス蛋白質の一つであるHSP27のリン酸化すること、およびその情報伝達機構の活性化を介して細胞増殖因子であるPDGF-ABの分泌および炎症惹起物質の一つであるsoluble CD40 ligandの遊離を促進することを明らかとしている。今回、コラーゲン刺激による血小板活性化における低分子量GTP結合蛋白質の一つであるRacの関与を検討した。その結果、血小板においてRacはp44/p42 MAPキナーゼの上流で機能しその活性化を促進し、HSP27のリン酸化を制御することおよび、コラーゲンによるPDGF-ABの分泌およびsoluble CD40 ligandの遊離を促進していることを明らかとした。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)
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