研究課題/領域番号 |
23592250
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
栗田 忠代士 浜松医科大学, 医学部附属病院, 准教授 (80303569)
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キーワード | レミフェンタニル / 薬力学 / 薬物動態学 / 出血性ショック |
研究概要 |
本年度は科研申請時の平成25年度に計画した出血性ショック時にオピオイドが脊髄における感受性を変化させるかまず検討した。5例の実験結果では0.5MAC(約1%)のイソフルラン投与下でレミフェンタニルを大量投与してもクランプによる体動をはっきりと止めることができず実験続行不能と判断した。 <動物準備>体重25kg前後のブタを4匹(予定では10匹以上)用いた。イソフルラン吸入により麻酔を導入し、気管切開、人工呼吸下にイソフルランを呼気終末濃度2%で維持した。大腿動脈に観血的動脈測定ライン(および脱血ライン)、右内頚静脈に肺動脈カテーテル(5F)、中心静脈カテーテル(18G)を留置した。 <実験手順>まずブタのイソフルランの1MAC(約2%)を呼気終末濃度2%から四肢をクランプし体動の有無を観察し決定した。決定後、0.5MACのイソフルラン投与下にレミフェンタニルを5γで持続投与し、2分毎四肢をクランプ、体動消失までレミフェンタニルを投与した。次にブタを循環血液量40%の脱血により出血性ショックにして、ショック時の1MACshockを決定後、その0.5MACshock下で2γのレミフェンタニルを持続投与し2分毎四肢をクランプ体動消失までレミフェンタニルを投与した。それぞれクランプ直前にレミフェンタニル濃度採血をした。 <結果>コントロールにおけるイソフルランのMACは2.2±0.2%であった。0.5MAC下でレミフェンタニルを5γで持続投与するも体動消失がみられず。投与量を20γまで増加したが、四肢クランプに反応するシバリング様の体動が消失しなかった。また血圧や心拍数の増加もみられ、この投与量では侵害刺激を抑制できていないと考えられた。 今後この実験を継続する場合はレミフェンタニルの投与量をさらに高量にする必要があるが、現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の実験はプロトコールの再考の必要があるが、それ以外はおおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は平成23年度予定の研究を推進する予定。 平成25年度の研究予定概略 出血性ショック時のプロポフォールの鎮静、体動抑制効果を同時に調べた我々の以前の実験と同じプロトコールを用い、コントロール群(出血性ショックなし)、ショック後にヒドロキシエチルスターチで蘇生した群、ショック後に輸血(脱血した血液を返血)で蘇生した群でプロポフォールの効果を調べ、プロポフォールの薬物動態力学的変化を比較する。出血によって増強する効果を回復できるか検討する。 <実験手順> 上記3群のいずれかの病態を作成後、イソフルランを中止する。プロポフォールを中心静脈ルートより50mg/kg/h(すべての動物で侵害刺激に対する体動が消失する投与量)で持続投与を開始する。投与開始から2分毎に大腿動脈より採血し(濃度測定用)、以後ブタに自発的体動がみられるまで採血を2分毎繰り返す。同時に2分毎、上肢を鉗子でクランプし、体動がみられるか観察。もし体動がみられなくなったら、次の採血ポイントでプロポフォールの持続投与を中止する。 この間、脳波の測定も記録し、脳波および侵害刺激に対する体動の両方の薬物力学的反応をプロポフォール濃度と解析する。1匹の動物で、その病態における鎮静と体動についての結果を得ることができ、かつ二つの蘇生法でプロポフォールの薬物動態力学的変化がどのように変化するか判明する。
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次年度の研究費の使用計画 |
科研申請時と同様に実験に必要な消耗品を中心に使用する。
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