臓器移植医療において、脳死患者から提供される肺が移植に至らない理由の一つに、脳浮腫・脳圧亢進による神経原性肺水腫(NPE)の発生が肺機能障害を引き起こすことが示唆されている。本研究では、in vitro肺動脈内皮細胞モデルを確立し、NPE発生関連物質として見出した神経ペプチド Y(NPY)の細胞透過性亢進作用の有無を評価した。その結果、NPYは10-11~10-7 Mの濃度範囲において有意な細胞透過性亢進作用を示さなかった。また、低酸素条件下およびノルエピネフリン共存下においてもNPYに有意な作用が認められなかったことから、NPEにおけるNPYの作用点は肺血管内皮細胞以外にあると考えられた。
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