麻薬の副作用の一つに免疫抑制があるが、その機序に免疫担当細胞に発現するオピオイド受容体が関連している可能性がある。 われわれは以前、ヒトTリンパ球およびTリンパ球系培養細胞であるJurkatにおいて、κオピオイド受容体のアミノ末端が切れた変異体(KOR4と名付けた)の存在を示した。現在、その遺伝子をクローン化して別の細胞に発現させ、KOR4の性質を検討している。また、Tリンパ球およびJurkatにモルヒネを前投与すると、T細胞受容体を活性化する刺激に対して惹起される細胞内応答が変化することを明らかにした。この実験結果は、麻薬がTリンパ球の性質を、さらには免疫応答を変化させる可能性を示唆する。
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