研究課題/領域番号 |
23592253
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
澁田 達史 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20324767)
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研究分担者 |
上林 卓彦 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10273640)
宮本 善一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70278844)
小阪 淳 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40243216)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 虚血モデル / 神経細胞 / 麻酔薬 |
研究概要 |
虚血モデル暴露後の生存脳神経細胞については形態学的検査には一様でも、細胞死に至る細胞と麻酔薬等薬物療法・低温療法によりレスキューされる細胞の分子細胞生物学的特徴は不明である。今回の我々の研究では形態学的に生存と判定された脳神経細胞に対してカルシウムイメージングを行い、細胞の分子生物学的特徴を明らかにすることを目標とした。平成23年度においては、岡山大学の小阪准教授との協力の上、油浸対物レンズFlour (Carl-Zeiss)を装着した倒立顕微鏡Axiovert 200 (Carl-Zeiss) 、CCDカメラ(Orca FR, 浜松フォトニクス)、画像イメージ処理用のAquacosmos (浜松フォトニクス)の設備の移送を行った。また、ウイスターラット妊娠16日目の胎児から大脳皮質神経細胞ならびに海馬神経細胞を分離し、硝子ボトムディッシュ(松浪硝子D111505)上に初代培養を行った。当初、プラスチック培養皿に比べ、培養状況が安定しなかったものの、培養液の組成や交換方法などを調節した結果、概ね良好な結果が得られるようになった。そこで、14日間程度培養された神経細胞に対し、Ca2+感受性インディケーター及び共重合型界面型活性剤プルロニックF-127を暴露し、蛍光励起(fluorescence excitation)のための150Wのキセノンランプを暴露することにより、蛍光強度の上昇を細胞内カルシウム濃度の変化の測定を見ることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初代培養神経細胞をカルシウムイメージングのため、硝子ボトムディッシュ上で観察に適切なように培養するのは非常に困難であると思われたが、培養液の組成や交換頻度の工夫により概ね良好な結果が得られるようになり、来年度以降の研究に好ましい影響を与えられると思われた。
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今後の研究の推進方策 |
脳虚血の際に大量に放出され神経毒性を発揮するグルタミン酸、NMDAを用い神経細胞に負荷し、カルシウム濃度を測定する。以上の実験により、薬物・低温療法を実施された神経細胞のグルタミン酸やNMDAに対する反応性の差異を調べる。一方、抑制性神経伝達であるGABAは、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)によりグルタミン酸を不可逆的に脱炭酸することによりを合成される酵素である。GADには2種類のアイソフォーム(GAD67、GAD65)が存在し、それぞれ異なる遺伝子にコードされている。GAD67は常に活性状態であり、基本的なGABAの産生を担当、GAD65は神経伝達の際に、一時的に活性化される。脳虚血の際はGABA作動系神経系の障害が引き起こされると言われており、GABA系の保護は脳虚血の際のポイントとなり得る。よって、同様の低酸素傷害モデルを使用し、神経細胞保護療法を行った各生存細胞に対し、GAD65, GAD67に対する免疫組織学的染色を行い、薬物及び低温療法のGABA作動性神経細胞に対する特異性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
培養実験のための器具、材料、試薬。学会参加をはじめとする調査、資料収集旅費、研究打合せ旅費。
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