ラット脳死モデルを用いて、脳死後の心機能低下のメカニズムを検討した。まず、心機能に関与するphosphatidylinositol 3-kinase (PI3K)とその下流にあるAktに着目した。脳死に伴いAktのリン酸化が進み、ワルトマニンにてPI3Kを阻害することで、Aktのリン酸化は抑制され、脳死後の心機能の改善が見られた。さらに脳死に伴いフォスフォランバンのリン酸化が認められ、PI3Kの阻害薬であるワルトマニンは脳死に伴うフォスフォランバンのリン酸化の抑制を阻害した。脳死に伴い心筋細胞内においてCaイオンの心筋小胞体への取り込みが阻害され、心不全を招く要因となっていることが示唆された。
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