研究課題/領域番号 |
23592255
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森田 潔 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40108171)
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研究分担者 |
武田 吉正 岡山大学, 大学病院, 准教授 (30294466)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 脳虚血 / ミトコンドリア / NADH / 脳血流 / レーザースペックル |
研究概要 |
(1)本年度はレーザースペックル血流計を用いて脳血流量を2次元画像で経時的に観察した。2次元的観察なので脱分極領域最外縁の血流の変化の観察が可能であった。血流の変化が梗塞巢拡大に及ぼす影響を観察した。オメガウェーブ社製レーザースペックル2次元脳血流系を用いる。ラットの30cm側方にレーザー照射装置を設置する。専用CCDカメラで15秒毎に脳表を撮影した。画像の変化率より30μm×30μmの分解能で5秒毎に脳血流量を算出した。レーザースペックル血流計に使用されているカメラの信号強度分解能が8bitだったため、虚血辺縁領域の少量の血流変化を捉えることが困難であった。そこで10bitのカメラを使用し虚血辺縁領域における血流量の分解能向上を図った。(2)ミトコンドリアが低酸素に陥ると呼吸鎖が停滞しNADHが蓄積する。NADHは青色光を発する蛍光物質なので、脳表に紫外線を照査すれば、ミトコンドリアのエネルギー産生障害を2次元画像で経時的に観察することが可能である。ミトコンドリアエネルギー産生の変化が脱分極領域拡大に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、このシステムを用いてエネルギー産生障害を2次元画像で経時的に観察した。ラットの30cm側方に360nm近紫外腺照射用キセノン光源を設置し、専用CCDカメラで脳表の460nmのNADH蛍光を5秒毎に撮影した。30μm×30μmの分解能で15秒毎にNADH蛍光を計測した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は脳梗塞辺縁の脳血流とミトコンドリア酸素需給バランスを同時に測定し、梗塞巣の拡大に及ぼすエネルギー動態の影響を調べることが目的である。23年度は2次元脳血流計で脳梗塞辺縁における脳血流量を観察できるシステム開発を行った。また、NADH蛍光観察システムを用いてNADH蛍光の変化を安定して測定する技術開発を行った。どちらも十分な感度で観察可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は血流の変化とミトコンドリアエネルギー産生の変化のどちらが優位に脱分極領域拡大に影響を及ぼしているか明らかにすることを目的としている。23年度に開発した技術を組み合わせ、CBFとNADH蛍光を同時に観察し当初の目的を達成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
手術用顕微鏡の右眼光路に脳血流観察システムを、左目光路にNADH観察システムを装着し近似した視野で脳血流量とミトコンドリア酸素需給バランスを同時に観察する。人工呼吸下にラット(n=20)の左頭頂側頭骨にcranial windowを開け、脳表を露出する。右大腿動脈にカニュレーションする。血液ガス分析で人工呼吸器を調節し、血圧を持続的にモニタする。脳表に38℃の生理食塩水を持続的に潅流し脳温を37℃に維持する。直腸温は加温ウォーターブランケットで37℃に維持する。左総頸動脈と左中大脳動脈を結紮し180分の虚血を負荷する。 研究計画を遂行するための研究体制研究の総括は森田が担当し、データの解析と動物実験は武田が行う。
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