研究課題/領域番号 |
23592259
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
北野 敬明 大分大学, 医学部, 教授 (20211196)
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研究分担者 |
徳丸 治 大分大学, 医学部, 准教授 (40360151)
横井 功 大分大学, 医学部, 教授 (80150366)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 病態生理学 / 核磁気共鳴法 / 脳虚血 / 脳保護 / 電子スピン共鳴法 / クレアチンリン酸 / ATP / αリポ酸 |
研究概要 |
【31P-NMRによる脳エネルギー代謝の測定】エーテル麻酔下にラットを断頭,速やかに大脳スライスを作成し,酸素化した10 mMブドウ糖加人工脳脊髄液(ACSF)で灌流し,31Pを観測核とする核磁気共鳴法(31P-NMR)によりスペクトルを測定した。この実験系の標本作製や灌流系,31P-NMR測定について,恒常的に改良を行った。【水溶性αリポ酸よるに神経保護作用の脳虚血-再灌流モデルを用いた検討】水溶性αリポ酸誘導体ジヒドロリポイル-ヒスチジン亜鉛キレート化合物(DHL-HISZn)を添加したACSFで灌流した群(投与群)と対照群について,脳スライスに対する虚血-再灌流負荷前後で,脳スライス中の高エネルギーリン酸(クレアチンリン酸,ATP)の回復を比較した。虚血負荷によりクレアチンリン酸,ATPともに検出できないレベルに減少したが,再灌流により一定のレベルまで回復した。平成23年度末までに対照群のデータを蓄積し,水溶性αリポ酸の至適濃度や投与のタイミングを決めるべく投与群の実験を継続中である。【ルシフェリン/ルシフェラーゼ法によるATPの測定】高エネルギーリン酸であるATPは,31P-NMRによるスペクトルのS/N比がクレアチンリン酸と比較して小さいため,その測定値のばらつきが大きい。代替あるいは補足手段として,ルシフェリン/ルシフェラーゼ法のキットによる脳スライス中のATPの定量を試みたところ,従来の実験系を応用して比較的簡単な手技で安定して測定できることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,平成23年度には脳虚血-再灌流モデル及び脳高カリウム脱分極負荷モデルを用いて,水溶性αリポ酸誘導体による神経保護効果の検討を行う予定であった。しかし,同じ実験系を用いる他の実験の実施に見込みよりも多くの時間を要してしまった。そのため,本研究の実験開始が遅れ,平成23年度末現在,水溶性αリポ酸の脳保護作用の脳虚血-再灌流モデルによる検討を行っている途中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度前半には,平成23年度に実施できなかった脳虚血-再灌流モデル及び脳高カリウム脱分極負荷モデルを用いた水溶性αリポ酸誘導体による神経保護効果の検討を継続し,完了させる予定である。平成24年度後半には,当初の計画通り,虚血負荷により過剰に産生されたスーパーオキサイドの量を電子スピン共鳴法によって測定し,αリポ酸誘導体のスーパーオキサイド産生抑制能を測定する。また平行して,透過型電子顕微鏡による脳スライスの超微形態的観察を行い,αリポ酸による神経保護効果の形態学的な検討を行う。また,平成23年度に試みたルシフェリン/ルシフェラーゼ法によるATPの測定を実験計画に取り入れる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度には,当初の計画で予定していたよりもNMRの測定回数が少なかったため,消耗品費(試薬代,ラット購入費,灌流用チューブ代)の一部を平成24年度に繰り越した。繰り越したこれらの消耗品費は,平成24年度の消耗品費(内訳は平成23年度と同様)と合わせて使用し,上記実験を実施する。
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