研究課題/領域番号 |
23592263
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
尾方 純一 自治医科大学, 医学部, 講師 (50352331)
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研究分担者 |
南 浩一郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70279347)
横山 徹 自治医科大学, 医学部, 助教 (80425321)
上園 保仁 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (20213340)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 脊髄後根神経節 / リガンド依存性イオンチャネ / TRIPV1 / Naチャネル / Sub P受容体 / オピオイド受容体 / G蛋白共役型受容体 / オレキシン受容体 |
研究概要 |
麻酔薬はリガンド依存性イオンチャネルだけでなく疼痛に関与するμオピオイド受容体(μ受容体)、サブスタンスP受容体(Sub P受容体)などのG蛋白共役型受容体(GPCR)や電位依存性Naチャネルにも影響し、麻酔機序における重要性が注目されている。一方、脊髄後根神経節(Dorsal Root Ganglia, DRG)細胞はSub Pなどの神経ペプチドが含有され、細い一次求心性線維中枢側から急性侵害刺激により遊離され、疼痛への関与が強く、Sub-P受容体やμオピオイド受容体など疼痛機序への関与する受容体が存在する。さらに、TRPV1やNaチャネル 、オーファンGPCRの存在も示唆され麻酔薬の重要な作用部位になっていると考えられる。本研究では、疼痛への関与し、TRIPV1、Naチャネル、μ受容体、Sub P受容体が存在するDRGにおいて、これらのチャネル、受容体の局在証明 、これらに対する麻酔薬の影響を、単一細胞でパッチクランプ法とカルシウム動態を同時解析する。さらにアフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いてこれらの受容体、チャネルへの麻酔作用のメカニズムを詳細に解析する。これらの解析により麻酔薬の鎮痛機序の全貌を明らかにし、麻酔機序の解明に迫ることを目的としている。本年度はTRPV1、Sub P受容体、μ受容体、NaチャネルのDRGでの局在証明を行った。 その結果、ラットDRGにはサブスタンスP受容体、TRPV1のDRG細胞での存在様式を、細胞内カルシウム変動、PCR法にて証明する事ができた。また、DRG細胞にはオレキシン受容体も存在することが明らかになった。また、現在はこれらをさらに証明するために免疫組織染色法、in situ hybridizationを用いて検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標として安定した培養細胞の確保、安定した実験状態の確立、またそのシステムを利用したTRPV1、Sub P受容体、μ受容体、NaチャネルのDRGでの局在証明を行う事を第一の目標に上げている。 本年度はTRPV1、Sub P受容体、μ受容体、NaチャネルのDRGでの局在証明を行った。 その結果、ラットDRGにはサブスタンスP受容体、TRPV1のDRG細胞での存在様式を、細胞内カルシウム変動、PCR法にて証明する事ができた。また、DRG細胞にはオレキシン受容体も存在することが明らかになった。また、現在はこれらをさらに証明するために免疫組織染色法、in situ hybridizationを用いて検討中である。また、これらに対する麻酔薬の影響も徐々に行いつつある。現在の段階においてはほぼ順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今までの結果を基に次の事を行って行く予定である。DRG細胞において麻酔機序に関与していることが示されているサブスタンスーP受容体、μ受容体などのGPCRやNaチャネル、TRPV1などの受容体、チャネルへ鎮痛薬、麻酔薬がどのように作用するのかを細胞内カルシウムの変動を用いて検討する。麻酔薬としては以下のものを使用する。(尾方、横山、南、上園) [使用する麻酔薬、鎮痛薬]吸入麻酔薬:ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン、ジエチルエーテル、静脈麻酔薬:ケタミン、プロポフォール、ペントバルビタール、デクスメデトミジン次に培養DRG細胞で得た結果を基にアフリカツメガエル卵母細胞系を用いてこれらの受容体へ麻酔薬がどのように作用するのかを検討する。さらに、これらのG蛋白共役型受容体とイオンチャネルとのクロストークを、スライスパッチ法を用いて解析する。(横山、南、上園)[使用する麻酔薬、鎮痛薬]吸入麻酔薬:ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン、ジエチルエーテル、静脈麻酔薬:ケタミン、プロポフォール、ペントバルビタール、デクスメデトミジン(現在すでに、オレキシン受容体に関してはDRG細胞に存在することを示唆する細胞内カルシウムの上昇を確認している。)さらにこの結果をアフリカツメガエル卵母細胞発現系で調べる。(南) 以上の実験を行うことにより脊髄後根神経節への麻酔薬の作用を詳細に検討する事によって、麻酔薬の鎮痛機序を詳細に検討する事が可能であると考えられる。本年度の研究で、麻酔機序に対するDRGを用いて疼痛に関与するSub P受容体、μオピオイド受容体、TRPV1、Naチャネルへの麻酔薬の影響の全貌を明らかし、総合的に麻酔薬の疼痛抑制機序を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画のとおり以下の実験内容ごとに消耗品を中心に研究費を使用して行く予定である。(DRG細胞において麻酔機序に関与していることが示されているサブスタンスーP受容体、μ受容体などのGPCRやNaチャネル、TRPV1などの受容体、チャネルへ鎮痛薬、麻酔薬がどのように作用するのかを細胞内カルシウムの変動を用いた検討)消耗品→[使用する麻酔薬、鎮痛薬]吸入麻酔薬:ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン、ジエチルエーテル、静脈麻酔薬:ケタミン、プロポフォール、ペントバルビタール、デクスメデトミジン。実験動物→ラット (アフリカツメガエル卵母細胞系を用いた受容体へ麻酔薬の作用の検討)使用する麻酔薬、鎮痛薬]吸入麻酔薬:ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン、ジエチルエーテル、静脈麻酔薬:ケタミン、プロポフォール、ペントバルビタール、デクスメデトミジン。実験動物→アフリカツメガエル(G蛋白共役型受容体とイオンチャネルとのクロストークのスライスパッチ法を用いた解析)[使用する麻酔薬、鎮痛薬]吸入麻酔薬:ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン、ジエチルエーテル、静脈麻酔薬:ケタミン、プロポフォール、ペントバルビタール、デクスメデトミジン。実験動物→アフリカツメガエルまた、上記以外には論文作成上の経費として投稿料、別刷り代、英文添削費用などを考えている。
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