研究課題/領域番号 |
23592263
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
尾方 純一 自治医科大学, 医学部, 講師 (50352331)
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研究分担者 |
南 浩一郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70279347)
横山 徹 自治医科大学, 医学部, 助教 (80425321)
上園 保仁 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (20213340)
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キーワード | 脊髄後根神経節細胞 / μオピオイド受容体 / サブスタンスP受容体 / G蛋白共役型受容体 / 電位依存性Naチャネル / カプサイシン受容体 / 麻酔薬 / 鎮痛薬 |
研究概要 |
脊髄後根神経節細胞(DRG)には、痛覚伝達に関与するμオピオイド受容体、サブスタンスP受容体などのG蛋白共役型受容体や電位依存性Naチャネル,カプサイシン受容体遺伝子(TRPV1)が多く存在し、疼痛機序を解析する最適なモデルである。今回の実験ではこれらに対する麻酔薬の影響を、単一細胞でパッチクランプ法とCa動態を同時解析し、さらにアフリカツメガエル卵母細胞発現系を用いてこれらの受容体、イオンチャネルへの麻酔薬作用メカニズムを詳細に解析することを目的としている。昨年度までサブスタンス-P受容体、μ受容体などのGPCRやNaチャネル、TRIPV1がDRG細胞において存在するのかどうか、細胞内カルシウムの変動、PCR、免疫組織染色法を用いて検討しその存在を確認した。さらにこれらの受容体、イオンチャネルへ麻酔薬がどのように作用するのかをパッチクランプ法と細胞内カルシウムの変動を組み合わせた実験系で単一細胞への影響を同時解析した。その結果、サブスタンスP受容体やμオピオイド受容体に対する麻酔薬の抑制作用が明らかになった。さらに次に培養DRG細胞で得た結果を基にアフリカツメガエル卵母細胞系を用いてこれらの受容体へ麻酔薬がどのように作用するのかを検討した結果μオピオイド受容体、サブスタンスP受容体に対しては麻酔薬の抑制作用があることも確認できた。今後はこれらのGPCRとチャネルとのクロストークを、スライスパッチ法を用いて解析する。さらにDRGにおける未知の痛覚伝達に関与するG蛋白共役型受容体の存在とその機能を解析する。さらに以上の実験によって得られた結果より麻酔薬の鎮痛機序を詳細に検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度まで脊髄後根神経節細胞(DRG)にサブスタンス-P受容体、μ受容体などのGPCRやNaチャネル、TRIPV1がDRG細胞において存在するのかどうか、細胞内カルシウムの変動、PCR、免疫組織染色法を用いて検討し、その存在を確認した。本年度はこれらの受容体、イオンチャネルへ麻酔薬がどのように作用するのかをパッチクランプ法と細胞内カルシウムの変動を組み合わせた実験系で単一細胞への影響を同時解析し、さらに次に培養DRG細胞で得た結果を基にアフリカツメガエル卵母細胞系を用いてこれらの受容体へ麻酔薬がどのように作用するのかを検討した。その結果サブスタンスP受容体、ムスカリン(M1、M3)受容体、TRIP受容体に対しては麻酔薬の抑制作用があることが明らかとなった。さらに、吸入麻酔薬や静脈麻酔薬の一部はµオピオイド受容体に作用することを明らかにし、μオピオイド受容体に対しては吸入麻酔薬(ハロセン、イソフルラン)は抑制するが、しかし静脈麻酔薬(プロポフォール)は臨床濃度では抑制作用をしめさず、この結果は臨床麻酔では吸入麻酔薬より完全静脈麻酔の優位性を示すものである。しかし、現在、測定段階で一定した条件でDRG細胞における麻酔薬の反応を観察することが長時間できないために、単一細胞で様々な濃度を測ることが難しく、数多くの濃度での効果を同一細胞で測定できないことが問題となっているが、今後はこれらを解決しより多くの結果を得たいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度まで脊髄後根神経節細胞(DRG)にサブスタンス-P受容体、μ受容体などのGPCRやNaチャネル、TRIPV1がDRG細胞において存在するのかどうか、細胞内カルシウムの変動、PCR、免疫組織染色法を用いて検討し、その存在確認した。本年度はこれらの受容体、イオンチャネルへ麻酔薬がどのように作用するのかをパッチクランプ法と細胞内カルシウムの変動を組み合わせた実験系で単一細胞への影響を同時解析し、さらに次に培養DRG細胞で得た結果を基にアフリカツメガエル卵母細胞系を用いてこれらの受容体へ麻酔薬がどのように作用するのかを検討した。その結果サブスタンスP受容体、ムスカリン(M1、M3)受容体、TRIP受容体に対しては麻酔薬の抑制作用があることが明らかとなった。さらに、吸入麻酔薬や静脈麻酔薬の一部はµオピオイド受容体に作用することを明らかにし、μオピオイド受容体に対しては吸入麻酔薬(ハロセン、イソフルラン)は抑制するが、しかし静脈麻酔薬(プロポフォール)は臨床濃度では抑制作用をしめさず、この結果は臨床麻酔では吸入麻酔薬より完全静脈麻酔の優位性を示すものである。今後はこれらのGPCRとチャネルとのクロストークを、スライスパッチ法を用いて解析する。さらにDRGにおける未知の痛覚伝達に関与するG蛋白共役型受容体の存在とその機能を解析する。さらに以上の実験によって得られた結果より麻酔薬の鎮痛機序を詳細に検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度はサブスタンスP受容体、イオンチャネルへ麻酔薬がどのように作用するのかをパッチクランプ法と細胞内カルシウムの変動を組み合わせた実験系で単一細胞への影響を同時解析し、さらに次に培養DRG細胞で得た結果を基にアフリカツメガエル卵母細胞系を用いてこれらの受容体へ麻酔薬がどのように作用するのかを検討し、吸入麻酔薬や静脈麻酔薬の一部はμオピオイド受容体に作用することを明らかにした。今後はこれらのGPCRとイオンチャネルとのクロストークを、スライスパッチ法を用いて解析する。さらにDRGにおける未知の痛覚伝達に関与するG蛋白共役型受容体の存在とその機能を解析する。そのために、アフリカツメガエルおよびその飼育費、ラット及びその飼育費、麻酔薬(ハロセン、イソフルラン等)及び静脈麻酔薬などの薬剤費用、燐酸化酵素阻害薬等のクロストーク解析に伴う薬剤費、パッチクランプ等しように伴う消耗品など研究費を使用する予定である。また今年度は細胞の培養条件をさらに最適化するために、培養に伴う条件の設定に費用を使用する予定である。得られた実験結果は、集約して発表するために、論文校正料、投稿料、掲載料、別刷り料などに使用する予定である。
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