研究課題/領域番号 |
23592264
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
南 浩一郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70279347)
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研究分担者 |
横山 徹 自治医科大学, 医学部, 助教 (80425321)
上園 保仁 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (20213340)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | オピオイド受容体 / 吸入麻酔薬 / 静脈麻酔薬 / ハロセン / プロポフォール / ケタミン / エタノール / トラマドール |
研究概要 |
オピオイド受容体に対する麻酔薬の直接作用はほとんど解明されていない。平成23年度の研究ではμOR-Gi/qをアフリカツメガエル卵母細胞発現系に発現させた方法を用いてオピオイド受容体に対する静脈麻酔薬(プロポフォール、ケタミン)と吸入麻酔薬ハロセンおよびエタノールの作用を電気生理学的に比較解析を行った。その結果以下の事が明らとなった。1、μOR-Gi/qをアフリカツメガエル卵母細胞発現系に同時に発現させ、オピオイド受容体刺激約DAMGOで刺激を行うと濃度依存性にCl電流が観察された。アフリカツメガエル卵母細胞発現系に発現させたμOR-Gi/qをDAMGOで刺激し、それによるCl電流をプロポフォール、ケタミンは濃度依存性に抑制した。しかし、ケタミンは臨床濃度で有意に抑制をしたが、プロポフォールは臨床濃度では有意な抑制を示さなかった。2、アフリカツメガエル卵母細胞発現系に発現させたμOR-Gi/qをDAMGOで刺激し、それによるCl電流に対してハロセンは濃度依存性に抑制した。ハロセンは臨床濃度で有意に抑制をした。3、アフリカツメガエル卵母細胞発現系に発現したμOR-Gi/qをDAMGOで刺激によるCl電流に対してエタノールは濃度依存性に抑制した。以上の結果より、μOR-Gi/qは麻酔薬により濃度依存性に抑制される事が明らかになった。また、ケタミン、ハロセンは臨床濃度において有意に抑制を示すことから臨床麻酔において麻酔薬とオピオイド受容体は何らかの相互作用がある事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度までの研究ではアフリカツメガエル卵母細胞発現系にμOR-Gi/qを発現させオピオイド受容体機能をリアルタイムに解析する実験系を用いてオピオイド受容体に対する麻酔薬の作用を電気生理学的に解析を行うことができた。本年度においては目標としていたオピオイド受容体に対する静脈麻酔薬(プロポフォール、ケタミン)と吸入麻酔薬(ハロセン)およびエタノールの作用を電気生理学的に比較解析を行うことができた。その結果としてアフリカツメガエル卵母細胞発現系に発現したμOR-Gi/qをDAMGOで刺激し、Cl電流を観察したがそれに対して静脈麻酔薬(プロポフォール、ケタミン)は濃度依存性に抑制した。さらに、ハロセンも臨床濃度で有意に抑制をした。今回の結果より、μOR-Gi/qは麻酔薬により抑制される事が明らかになった。特にケタミン、ハロセンは臨床濃度において有意に抑制を示すことから、臨床麻酔において麻酔薬とオピオイド受容体は何らかの相互作用がある事が示唆された。本年度の結果は次年度に結びつく成果であり、概ね順調に本研究が進捗していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度までに得られた結果を基に平成24年度以降は以下の研究を行う。1、δOR- Gi/qをアフリカツメガエル卵母細胞発現系に発現させた方法を用いてオピオイド受容体に対する静脈麻酔薬(プロポフォール、ケタミン、トラマドール、ペントバルビタール)と吸入麻酔薬(ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン)の作用を電気生理学的に比較解析する(南、横山、上園) 2、麻酔薬のμOR-Gi/qまたはδOR- Gi/qに対する抑制効果のメカニズムを解明するために以下の実験を行う。μOR-Gi/qまたはδOR- Gi/qに対する静脈麻酔薬(プロポフォール、ケタミン、トラマドール、ペントバルビタール)と吸入麻酔薬(ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン)の抑制作用にリン酸化酵素が関与するのかどうかを確かめる(南、横山、上園)。さらにμOR-Gi/qまたはδOR- Gi/qに対するリン酸化部位のアミノ酸を他のアミノ酸へ変換させた受容体を用いてリン酸化が抑制メカニズムかどうかを確認する(南、横山、上園)。以上の検討を行い、本研究の目的を達成する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は以下の実験項目に対して研究費を使用する。 1、δOR- Gi/qをアフリカツメガエル卵母細胞発現系に発現させた方法を用いてオピオイド受容体に対する静脈麻酔薬(プロポフォール、ケタミン、トラマドール、ペントバルビタール)と吸入麻酔薬(ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン)の作用を電気生理学的に比較解析→消耗品として静脈麻酔薬(プロポフォール、ケタミン、トラマドール、ペントバルビタール)と吸入麻酔薬(ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン)、オピオイド受容体刺激薬 実験動物としてアフリカツメガエル 2、麻酔薬のμOR-Gi/qまたはδOR- Gi/qに対する抑制効果のメカニズムを解明→消耗品として静脈麻酔薬(プロポフォール、ケタミン、トラマドール、ペントバルビタール)と吸入麻酔薬(ハロセン、イソフルラン、セボフルラン、エンフルラン)、オピオイド受容体刺激薬、リン酸化酵素刺激薬、リン酸化酵素阻害薬、分子生物学的試薬 実験動物としてアフリカツメガエル。 3、論文公表→論文の作成に関して、投稿料、別刷り料金、英文添削にかかる人件費
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