研究課題/領域番号 |
23592268
|
研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
宮前 俊一 金沢医科大学, 医学部, 講師 (30121263)
|
研究分担者 |
芝本 利重 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90178921)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 運動 / 肝虚血再灌流障害 / 脂肪肝 / 肥満 |
研究概要 |
本研究の目的は虚血再灌流障害耐性が弱いとされている脂肪肝に対する運動トレーニングの改善効果の有無を明らかにすることである。本年度はex vivo摘出灌流肝臓に虚血再灌流(Ischemia reperfusion :IR)障害を惹起させる実験モデルの確立を目指した。さらに、計画を前倒しにして運動トレーニングの効果も検討した。肥満ラットはOLETFラットを、その対照として非肥満ラットにはLETOラットを用いた。実験は(1)肥満運動IR群(2)肥満非運動IR群(3)対照運動IR群(4)対照非運動IR群(5)肥満非運動非IR群(6)対照非運動非IR群の6群において行った。運動はトレッドミルで、速度10m/min、10分間を週5回よりはじめ、漸増して4週には23m/min、40分間を負荷した。肝動脈を結紮した摘出肝臓は門脈からへパリン加自家血で定流量(門脈圧7-8cmH2O)で灌流した。虚血は門脈ラインを閉塞し、1時間後に解除し再灌流した。その後1時間観察した。肝障害は(1)灌流血中ALT濃度、(2)胆汁流量、(3)肝うっ血の程度を肝臓重量、(4)前類洞抵抗と後類洞抵抗、(5)肝組織像により評価した。ラット体重と肝重量は肥満ラットでは運動群は非運動群に比べて有意に小さかった。しかし非肥満ラットでは差異はなかった。IRによりALT濃度は肥満群では対照群に比較して有意に増加した。しかしながら、運動のALT濃度上昇の抑制効果は見られなかった。また、胆汁流量もIRにより低下したがIR群間には有意差はなかった。さらに、肝血管抵抗の上昇並びに肝重量の変化もIR群間には有意差はなかった。以上より、虚血再灌流による肝逸脱酵素ALTを指標とする肝細胞障害は肥満ラットで強かった。しかし、今回の運動プロトコールではその抑制効果はないことが示唆された。なお、肝組織像について現在検討中である
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の実験計画の摘出灌流肝臓における脂肪肝の虚血再灌流障害モデルの確立は達成された。さらに、次年度の予定としていた運動効果の検討も行った。その分、当初計画のin vivo modelの確立は次年度に繰り延べとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度には、本年度計画の繰り越しとなった脂肪肝の虚血再灌流障害を麻酔下の肥満ラットにおいてin vivo modelの確立を目指す。その結果を踏まえて、運動効果を判定し、運動プロトコールを見直していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画に従って遂行する予定である。
|